研究課題/領域番号 |
23K12792
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
鈩 悠介 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 西日本ブランチ広島オフィス, 研究補佐員 (40963492)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 社会的弱者 / 社会参加 / 市民性教育 / 歴史教育 / 社会科教育 / 歴史的意義 / 質的研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、これまでの研究で着目されづらかった人々の歴史の語りを、歴史的意義の思考の研究方法を応用することで明らかにする。 国内外の歴史的意義の思考の研究は、インタビューを通して自らの思考を一定程度「語れる」人々を主な対象としてきたと推測される。この歴史的意義の思考の研究対象を、より「語りづらい」人々へと拡張することを目指す。 本研究では、社会的弱者(Vulnerable People)という概念に着目したい。社会的弱者という概念は、自分自身のケアが困難であったり害や搾取から身を守ることが困難であったりする人々として定義されている。本研究ではこの概念で拾い上げることができるような人々に着目する。
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研究実績の概要 |
本研究は、歴史的意義についての思考を、より「語りづらい」人々へと拡張することを目指す。実行可能性や倫理的困難さを考慮し、1年目は文献レビューを通した研究デザインの設定を主な課題とした。 最も重要な課題は、「社会的弱者」という概念によって提示されるインタビュー対象者を本当にインタビューすべきかという点である。この点については、文献収集や共同発表を通じて検討を進めた。 現段階で以下の知見を得ている。第一に、研究の倫理的問題である。社会的弱者へのインタビューが持つ暴力性は周知の事実だが、体系的レビュー研究(Alexander, Pillay, Smith, 2018)によれば、社会的弱者に対する研究が進展しないことによる問題にも自覚的である必要があると示唆された。 第二に、研究対象についてである。例えば、定型発達とは異なる人々へのインタビューについての議論を歴史教育や関連領域の観点から収集した。その結果、定型発達の人々の想像力の限界性について指摘する論考が表れていることを確認した(野尻, 2023)。 第三に、研究方法についての考察である。これまでの歴史的意義の思考についての大部分の研究のように自国の歴史学習をある程度終えた子どもではない人々をどう調査するかについて検討を加えた。その結果,未就学児含めた幼少期の子どもに関する調査を行ったHauver(2019)など本研究課題に有益な示唆を与える研究を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究デザインについて検討を加えることを主眼に置いた。1年目では調査の実現可能性の高い対象者について議論し選定を行うことを計画していたが,研究代表者の所属変更に伴い,アクセス可能性の高い対象者が様変わりしたため,上記のような進捗状況と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究についての倫理的配慮と実行可能性についての検討は引き続き行う必要がある。本研究に関連するテーマを研究する研究者が社会科教育内外で発表を続けているため、研究ネットワークを広げることが今後のキーとなると予想される。
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