研究課題/領域番号 |
23K12797
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
樊 怡舟 広島大学, 高等教育研究開発センター, 特任学術研究員 (10971004)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 学修成果 / GPA / 交換最小二乗法 / 交互固定効果モデル / 項目反応理論 / 高等教育 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの大学では,質保証の根拠としてGPAを用いている。GPA 指標は,学生が履修した科目の S,A,B,C,D のレターグレードを4,3,2,1,0のような数値に置き換えたうえで平均値を求めたものである。しかし,履修科目の難易度の不一致や教員の評価基準の恣意性が指摘され,GPAは個人間比較が困難という限界を持つ。加えて,学年を経るごとに受講する講義が変わるため,個人の年度間比較も困難である。以上のようなGPAの課題を踏まえ,本研究学制成績の生成モデルから着手し,代理指標論等の検討に基づき,GPAを置換可能な,信頼性・妥当性を担保した学生の質保証尺度の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
GPAは学修効果の重要指標であるが、そういった手法では「学修成果」をどれほど可視化できているか,つまり指標の妥当性に関する検討が不足している。本研究はGPAの比較可能性の限界を乗り越える手法として,成績情報に対して平均値の代わりに,個人因子・個人特性の抽出を試みることを目指している。つまり、成績情報の背後にある,どの科目にも影響を及ぼしている学生の能力となるものを,個人因子・個人特性として抽出出来れば,その因子によって個人間の比較が可能になる。 成績情報は大量欠損の大規模データである。普通の因子分析のアルゴリズムでは,欠損が発生する行をすべて削除してから因子を抽出するため,それを対処するために、交互最小二乗法に基づく交互固定効果モデルの解析を提案し、さらなる数理モデル上の裏づけを行い,抽出手法の開発を行った。 今年度は、予定通りに、学修成果のとらえ方および測定手法について、先行研究整理のほか、交互最小二乗法による欠測データの情報集約・因子抽出の前提仮説に関する理論研究を行った。同じ手法を用いて、計画欠損のアンケート等での適用も可能であることをも実践的に確認した。こうした理論研究を通して、因子抽出・情報集約の文脈から「学修効果測定」に関する理解を深めることができた。 また、公開研究会等を通して、歴史的アプローチから見る学習効果、数理モデルから見る効果測定など、方法論の見地から、「学修効果」という言葉の定義、そしてそれを測定する行為の意味合いについて、各領域の専門家と検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学生の成績表データでは,全ての講義を履修している学生がいない限り,全ての行が削除されてしまうという問題が生じる。それを対処するため、大量欠損が発生しているデータの解析法の開発と実践は,本研究の最も重要な取り組みになる。 今年度は予定通りに、交互最小二乗法の前提仮定を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、共通因子抽出の理論研究を行う。 それとともに、「学習効果」の意味合いをどのように認知されてきているか、そして、今までどのように効果測定を理解してきているかについて、歴史的アプローチを適用し、整理していく。
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