研究課題/領域番号 |
23K12805
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
杉山 芳生 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (20963284)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 対話型論証 / 初年次教育 / アカデミック・ライティング |
研究開始時の研究の概要 |
アカデミック・ライティングは国内外を問わず、大学教育において欠かせない教育内容の一つとなっている。そこでは、「トゥールミン・モデル」や「対話型論証モデル」などの論証の型を用いた教育が行われているが、「型はめ教育」と批判される可能性もある。本研究は、その論証の型を、教授されるものとしてではなく、学生が自らのものとして学び、自身の説明モデルとして形成していくことを目指すものである。そのために、学生が学習以前に所有している論証の型(説明モデル)の特徴を明らかにし、以降の学習に向けた、その型の活用の可能性について検討していく。
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研究実績の概要 |
2023年6月に大学教育学会にて、比較的少ないサンプル数で実施した試行調査の結果を発表するとともに、授業実践や研究方法について検討を行なった。試行調査の結果として、初年次学生は論証に必要な要素を抽出することはできているが、論証の型を自身の説明モデルとして使いこなすまでには至っていない可能性が高いこと、特に論証モデルにおける「問題」や「反駁」などへの意識(調査課題での記載率)が低いことが明らかとなった。一方、研究方法の課題として、課題に示された記事から要素を読み取ることと、論証に必要な要素を自ら記載することや、それをアカデミック・ライティングで文章に書き起こすことに乖離がある可能性が指摘された。 先述の試行調査の結果をもとに、2023年度前期に本調査となる授業実践を行うとともに、サンプル数を増やしたデータの収集と分析を行なった。分析の際には、試行調査で明らかとなった、研究方法の課題に対応するため、ライティングの前段階として、学生が論証の型を自身の説明モデルとして形成していくことの重要性に着目し、エンゲストロームの「方向づけのベース」の分析視点を重視した分析を行なうこととした。方向づけのベースとは「人が自分なりに物事を理解したり、その物事を評価したり、その物事に関連する課題を解決したりするときに用いるモデル」を指す。現在はその分析結果を論文として整理し、投稿に向けた準備を行なっている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2023年6月に大学教育学会にて、比較的少ないサンプル数で実施した試行調査の結果を発表するとともに、授業実践や研究方法について検討を行なうことができた。研究方法の課題として、課題に示された記事から要素を読み取ることと、論証に必要な要素を自ら記載することや、それをアカデミック・ライティングで文章に書き起こすことに乖離がある可能性が指摘されたが、ライティングの前段階として、学生が論証の型を自身の説明モデルとして形成していくことの重要性に着目し、エンゲストロームの「方向づけのベース」の分析視点を重視した分析を行なっている。 2023年度前期に本調査となる授業実践を行うとともに、サンプル数を増やしたデータの収集と分析を実施し、現在はその分析結果を論文として整理し、投稿に向けた準備を着実に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度内に2023年度実践の最終的な分析結果を論文としてまとめ、学会誌等で公表する計画である。試行調査の結果から、ライティングの前段階として、学生が論証の型を自身の説明モデルとして形成していくことの重要性に着目し、エンゲストロームの「方向づけのベース」の分析視点を重視した分析を行なうこととしたため、レポート課題の得点等との統計的な比較については、主な研究内容から外れる可能性があるが、それに代わり、論証の型に関する理論的な分析や、「方向づけのベース」の分析視点を重視した詳細な分析を行い、論文化して研究結果を公表していく所存である。
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