研究課題/領域番号 |
23K12824
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小倉 光明 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (50909215)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 問題発見 / 課題設定 / 自然言語処理 / 興味 / 問題発見力の育成 / 探索型の問題 / AI自然言語モデル / システム開発 |
研究開始時の研究の概要 |
予測困難な社会では現状よりも理想に着目した創造的で探し求める問題発見力である「探索型の問題発見力」の育成が重要である。従来の研究では発生型(既に起こっている現状の問題)の問題発見力が多く、探索型の問題発見力の育成については明らかになっていない。そこで個人の内側にある興味・関心(内発的動機)に着目し、AI 自然言語処理モデル(BERT)を活用することによって、「探索型の問題発見力」の育成を目指す。視覚的に整理しやすい探索型問題発見フォーマットを作成し、探索型問題発見支援システム構築する。主体的・個性的な学びの出発点である問題発見を個人で行うことができるため、個別最適な学びの普及に繋がると考える。
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研究実績の概要 |
今年度は研究1としてAIの自然言語処理モデルを用いて,新たな興味への気づきを支援できるようにWebアプリケーションの開発を行なった。そして,このWebアプリケーションを用いて実践を行い,新たな興味の気づき数と,興味に対する価値認識についてまとめた。 自然言語処理モデルはrinna社のRoBERTaを活用し,自分では気がついていない興味に気づかせるために曖昧なAI出力を目指した。方法としてユーザ既有の興味を基に,AIに複数候補を予測させ,第1の出力候補だけでなく,それよりも低い順位の出力候補をランダムに提案することで曖昧さを表現した。AIへの指示文は上位概念,下位概念,共通性への広がりを意図して作成した。小中学生に対する検証の結果,子供が記述した「興味あること」の単語数がWebアプリケーション使用後に増加し,その興味に対して感情的価値,認知的価値を感じていることが確認された。 また,問題発見・課題設定の際に重要となる自分にできることの認識を支援するために,AIの曖昧な出力を用いて中学生に対して実践を行い,調査を行なった。 前者の内容については,日本教科教育学会第49回全国大会で発表した(題目:新たな興味への気づきを支援する自然言語処理AIを活用したWebアプリケーションの開発)。この結果を論文として投稿中である。後者の取り組み内容については日本産業技術教育学会第39回情報分科会で発表した(題目:自然言語処理モデルRoBERTaを用いたシーズ探究支援Webアプリケーションの開発)。この結果を論文として投稿するために執筆をしている。 上記の調査に加えて,研究2として興味の深掘りによる探索的な問題発見についての思考過程の調査に向けて,予備調査としてWeb調査を実施した。この内容については現在分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1については,小中学生を対象とした実践と検証を順調に実施することができた。そして,学会において知見を発表することもできた。しかし,サンプルが少ないため,追加でデータを収集する必要がある。また論文に成果をまとめる必要がある。 研究2については,公立校に協力の内諾を得ることができているため,一定数のサンプルが確保できそうである。質問紙調査及びインタビュー調査を実施する計画である。 研究3については,公立校のネットワーク環境でも実施できるよう,認証システムの構築を行なった。今後,共有システムの構築が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は継続的な実践,収集したデータの分析,学会での発表および論文の執筆,システムの開発を中心に行う。継続的な実践に関しては,公立校において開発した自然言語処理モデルを活用したWebアプリケーションを用いて,探索的な問題発見についての調査を行う。データ分析に関しては,探索型の問題発見に興味がどのように影響しているのかを,2023年度の質問紙調査の結果および公立校に対する調査の結果から量的に分析するとともに,自由記述の内容から思考プロセスについて質的に調査を行う計画である。これらの内容に関する学会発表については日本産業技術教育学会や日本教育工学会等での発表を計画している。さらに,適宜論文として成果をまとめる。学会や論文での発表を通して,他の研究者から意見をもらい内容をさらに深める。加えて,調査へ協力していただいた方々へのフィードバック等を行い,成果の還元を目指す。システムについては共有機能の開発を進め,2025年度で実践できるよう準備を進める。
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