研究課題/領域番号 |
23K12840
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
大和 裕也 福井工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (70831220)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 可視化ツール / ホログラム / 防災教育 / 体験型学習教材 |
研究開始時の研究の概要 |
今後の児童の防災学習として,災害時に自ら行動できる能力を身に着けさせるため,日常より効果のある学習環境を提供することは重要である.本研究は児童が個別で学習できる質の高い効率的な防災訓練システムの構築,自主学習の促進のための体験型学習教材の開発を目的として,以下の3つを検証する.①ホログラムが火災時の避難行動を教え,児童が避難行動を行い,学習効果を検証する.②ホログラムが消火器の操作方法を教え,児童が訓練用の消火器を操作し,消火訓練の効果を検証する.③自主学習が行える環境を提供することで促進効果を検証する.
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研究実績の概要 |
2023年度は,MRを用いたケムリの回避行動に関する防災教育を実施するための開発を行った. ケムリのモデル設定はUnity,ホログラムはイラストレータを用いて作成し,Unity内でアニメーションツールを活用した.煙のシミュレーターを作成するため,学校の壁をあらかじめスキャンする.この壁に煙が反射する中で避難行動をとる形となる.避難行動の呼びかけは,ホログラムと学校の避難放送を再現した音声で行う予定である.学校の3Dデータ取得には,Hololens2に搭載されている,SpatialAwareness(空間認識)の機能を用いる.まず,対象とする学校のエリアの3Dスキャンを行う.スキャンを行うと,学校が三角形のメッシュで認識される.作成された3Dデータは,Unity内に取り込む.次に,シミュレーション開始位置に座標を合わせる.座標を合わせたのち,ケムリの接触判定のための当たり判定を設ける.当たり判定の設定後はメッシュを非表示にすることで,Hololens2で視聴した時に実際の壁に煙が反射しているように見える. ケムリの避難行動訓練のMR環境での開発について,MR環境での開発はUnityを活用して行う.これまで作成してきたケムリのパーティクルとホログラムをUnityであわせ,MR環境での開発を行う.方法として,マイクロソフト社が無料で提供しているMixed Reality Toolkit(MRTK)と呼ばれるパッケージをUnityにインポートする.MRTKは,Mixed Realityハードウェアとプラットフォームのサポートを提供することで,クロス プラットフォームMixed Realityアプリケーション開発を可能にするパッケージのコレクションのことである.Unity内でのビルド設定,XRセッティングをMixed Realityに対応したシステムに変更する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況として,「おおむね順調に進んでいる」と考える.その理由として,研究の目的に対して,1年目の進捗状況に示すような研究成果をあげているからである. 【研究の目的】 本研究は,児童に対してのホログラムでの防災教育の有効性を明らかにするため,MRを用いたホログラムが教える児童の体験型防災学習教材の開発を目的として,以下の3つを検証する.①3Dモデル(仮想空間)の小学校を対象として,MRを用いホログラムが火災時の避難行動を教え,児童が避難行動を行い,学習効果を検証する.②ホログラムが消火器の操作方法を教え,児童が訓練用の消火器を操作し,消火訓練の効果を検証する.③自主学習の促進を図るため,自主学習が可能な環境を提供し,促進効果を検証する. 【1年目の進捗状況】 現在までの研究成果として,ホログラムを用いた火災を想定したケムリによる防災訓練の開発まで完了し,研究目的に示した①が実施できている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り,研究を遂行する. 2024年度は消火器の操作方法をホログラムが児童に説明するための音声の設定,アニメーションのデザインや動作の開発を行う.消火器には,消火水を放出するタイミングをシステムに伝達するためのUI(User Interface)が必要である.そこで,訓練用消火器,1キーキーボード,モバイルバッテリー,Bluetooth接続による切り替え機を用いてUIを開発する. また,防災教育に必要なシステムがすべて完了することができれば,小学5年生と2年生を対象とし防災訓練を実施する.訓練では,3Dモデル化した小学校に煙を発生させ,ホログラムが煙の回避行動をとるためほふく前進で進むよう促し,また,地震が発生した際に必要な避難行動を実践し説明する.その後,消火訓練を行い,消火器の使い方をホログラムが児童に教え,訓練後にアンケート調査により学習効果を評価する.アンケート調査の内容は,ホログラムによる説明の理解度,防災への興味に関する質問を行う.また,教員にも児童個別での学習が可能か,教員の負担軽減が可能であるかアンケート調査により把握する.さらに,避難行動や消火訓練の動画データを各家庭に提供し,自主学習の促進効果を検証するため,防災訓練の内容を動画で確認したか,家族と防災訓練に関する話題を話したかをアンケート調査で把握する.
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