研究課題/領域番号 |
23K12855
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
胡 安チイ 茨城大学, 人文社会科学, 助教 (00909731)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 代理接触 / 対外集団態度 / 動画 / バーチャルリアリティ / 偏見 / 国際化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,急激に加速する国際化社会を見据え,日本における偏見・差別による異文化間の衝突を事前に緩和し,より友好的な国際交流を促進するための心理学的トレーニングの開発とその実践応用方法の確立を目的としている。動画やVR映像を用いることで,外集団(外国人)と直接接触をせずとも, 偏見の軽減,対外集団態度の改善, 友好的な直接接触に向けての行動変容が期待される,日本の文化背景に適した非接触アプローチを開発する。本研究により, 日本の国際教育では行われてこなかった心理学的枠組みによる異文化理解教育が実施可能となり,異文化間の衝突を緩和するのみならず,より健全な共生社会の構築に貢献できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、急激に加速する国際化社会を見据え、日本における偏見・差別による異文化間の衝突を事前に緩和し、より友好的な国際交流を促進するための心理学的トレーニングの開発とその実践応用方法の確立を目的としている。具体的には、 心理学的理論と手法を用い、外集団(外国人)と直接接触をせずとも、偏見の軽減、対外集団態度の改善、友好的な直接接触に向けての行動変容が期待される日本の文化背景に適した非接触アプローチを開発すること目指している。申請者は、これまでの研究において、「外集団成員との友好的な接触を想像することで、外集団への態度を好転させ、偏見が軽減できる」とする仮想接触理論に関する研究を実施し、既に非接触アプローチのシナリオを作成し、その有用性を明らかにしている。 本年度では、「外集団成員と内集団成員が友好的に接触している映像を視聴し、外集団とのポジティブな接触行動を学習することにより、偏見が軽減し、より好意的な直接接触に繋がる」とする代理接触理論に着目し、動画技術を用いた非接触アプローチが日本人の対外集団態度へ与える影響とその持続性について検討した。具体的には、先行研究にて作成した仮想接触シナリオを代理接触アプローチの刺激として動画化し、日本人61名を実験対象とした調査を行った。代理接触アプローチ実施群と統制群に分けて実施し、実施群では、内集団成員が外集団成員と友好的な接触を行っている動画を3種類視聴させ、統制群では内集団同士が交流している動画を視聴させた。これらの結果から、実験群では対外集団態度が好転し、英語コミュニケーションに向けての意欲も向上することが示された。また、実施前、実施直後、1週間後、1ヶ月後の4段階において実施した縦断研究では、代理接触アプローチの持続性を検討した。その結果、実施直後には効果を発揮するが、1週間後および1ヶ月後にはその効果が薄れる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定計画の通りに進んでおり、また予想外の代理接触アプローチの効果、持続性についても示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、動画版代理接触アプローチの開発およびその持続性に関する理論的枠組みを支持する結果を示した。一方で、VR技術を用いた代理接触アプローチの開発については、まだ検討されていない。今後は、これまでに作成した動画版代理接触アプローチを応用し、VR映像を用いた代理接触アプローチの開発・改善を試みる予定である。また、外集団との直接接触時にどのような行動的影響を及ぼすのかについて検討するため、開発した代理接触アプローチを発展させ、偏見の軽減や対外集団不安の緩和のための実践的な対策としての応用性を探索する。具体的には、近い将来に留学を予定している日本人約30名を実験対象とし、実施群と統制群に分けた上で代理接触アプローチを実施する。実施前、留学中、帰国後の3段階において、対外集団態度を測定する。さらに、留学中の外集団との直接接触時の行動(直接接触頻度、直接接触経験の満足度等)についても測定する。帰国後は、直接接触時の経験についてインタビューを行うことで、 両群の行動変容を定量的・定性的に検証する予定である。 国際教育の現場における対外集団態度変容と行動変容を促すための代理接触アプローチの効果を実証し、心理学的トレーニングとして応用することにより、外集団と直接接触を行う前段階から、異文化間の衝突を緩和する実践的な予防策としての応用性を探索する。
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