研究課題/領域番号 |
23K12861
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
矢野 香 長崎大学, キャリアセンター, 准教授 (10752727)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コミュニケーション / メタバース |
研究開始時の研究の概要 |
近年、COVID-19パンデミックも影響し、「メタバース(3次元仮想空間)」の活用が急速に進んでいる。しかし、メタバースでのコミュニケーションについては、まだ解明されていないことが多い。 そこで本研究では、メタバース空間で「アバター」と呼ばれる自身の仮想分身を使ってコミュニケーションをとる時の印象形成プロセスについて検討する。相手アバターを信頼できるかどうかの判断には「話す内容」や「見た目」等どのような要因が影響しているのか。言語情報・非言語情報の観点でアバター同士のコミュニケーションにおける信頼関係構築の要因について、印象評価から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、メタバース空間におけるアバターを使ったコミュニケーション時の印象形成プロセス、特に信頼の形成プロセスに関する要因について質的・量的調査によって検討することにある。それによりアバターを操作している人間を信頼できるかどうかという印象を決定する要因を明らかにする。実際のメタバース空間でヒトの姿をしたアバターを使ってコミュニケーションを取りながら、アバターの「社会的望ましさ」の印象形成を研究し、本研究により広範な分野で導入されはじめたメタバースにおけるコミュニケーションのためのソーシャルスキル・トレーニングの開発を見据えた心理モデルを構築することを目的とする。 令和5年度は、互いを知らない20代~60代の全国から参加した社会人20人を対象にメタバース空間におけるアバターを使ったコミュニケーションを実施した。30分の会話後、相手アバターへの信頼度を6段階の数値尺度で被験者に尋ねる調査を行った。 さらに被験者のうち10人に対し、1人60分程度のインタビュー調査をオンラインで実施し、信頼度数を選んだ理由、どんな手掛かりから相手を信頼したのか等、信頼印象を形成する要因について質問した。インタビューはすべて許可を取り録画し、文字に起こしてトランスクリプトを作成した。 これらの結果をもとに、言語情報・非言語情報の着眼点を大分類としつつ、具体的項目(話す内容、言葉遣い、服装やジェスチャーなどの視覚情報、声などの聴覚情報)について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りの調査とインタビューを実施することができた。 ただし社会人30人を対象に調査を実施する予定であったが、条件の確保が難しく20人の被験者でメタバース空間におけるアバターを使ったコミュニケーションと調査、インタビューを実施した。 これらの結果をもとに、言語情報・非言語情報の着眼点を大分類としつつ、具体的項目について分析した。その結果、相手アバターをどちらかと言えば信頼できると判断し(100点満点のうち平均値61.8点)、その要因は「話す内容」や「声の高さ」「アバターの性別」「言葉づかい」「行動」「話しかけやすさ」と多岐に渡ることが示唆された。 詳細は来年度に学会にて発表し、来年度実施予定の調査にむけて内容や質問紙の改善を続ける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度の結果をふまえ、被験者の数を増やし、メタバース空間でのアバターを使ったコミュニケーションの実施時間も長く設定した条件で本調査を実施する。具体的には、社会人100人を対象にした60分のコミュニケーション後の調査を予定している。 その後、相手アバターへの信頼度やどんな手掛かりから相手を信頼したのかなどの信頼印象を形成する要因について質問する調査を行う。質問項目は、昨年度の調査結果をもとに改良する。 さらに、学生に対する同様調査の結果との違いが認められたことから、学会発表にて報告し教育現場でも導入されはじめているメタバースにおけるコミュニケーションのための検討を行う予定である。
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