研究課題/領域番号 |
23K12863
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
新井 さくら 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (60972536)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 協力 / 非協力者検知 / パートナー選択 / 信号検出理論 |
研究開始時の研究の概要 |
非協力者検知メカニズムが、相手を非協力者と見なす判断基準をパートナー選択環境に応じて調節することにより、コストの大きいエラーを抑えるようにデザインされているかを実験検証する。経済ゲーム実験において協力相手を自由に選べる高パートナー選択環境とそうではない低パートナー選択環境の二条件を設けると共に、参加者の実験室外でのパートナー選択環境を質問紙で測定する。非協力者を見抜けないエラーと協力者を非協力者と間違えるエラーのうち、当座のパートナー選択環境においてコストの高いエラーが抑制されるかを検討する。
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研究実績の概要 |
初年度である令和5年度は、非協力者検知のエラー抑制デザインを検討する本研究の中核となる本実験の実施準備と、準備の一環としてサブ実験を行った。 本実験については、参加者に呈示する実験刺激や教示などの実験マテリアルの作成、オンライン実験の参加者募集に用いるWebクラウドサービスへの登録、オンライン実験実施プラットフォームとの契約締結とプラットフォーム上での実験マテリアルの実装、実験実施にあたっての倫理申請およびこうした実験手法および仮説などの事前登録(pre-registration)といった準備を行った。 また、オンラインでの本実験実施にあたり、参加者募集に用いるWebクラウドサービスと実験刺激などを呈示するためのオンライン実験プラットフォームの二つのリソースを選び、またこれら二つを連携して実験を完遂できるかどうかについてサブ実験の実施を通じて確かめた。このサブ実験は、パートナー選択を背景としたエラー抑制デザインの特徴を検討する本実験と理論的枠組みを共有しつつ、よりシンプルであるが類似の実験デザインでパートナー選択を背景とした評判管理の心理機序について検討するものであった。具体的には、独裁者ゲームという二者間での経済ゲームにおいて、相手と自分の間で好きに金銭を分配できる独裁者役となることを嫌がるという独裁者役忌避という現象が、実験のアーティファクトでなく一般の人々にある程度の割合で見られる傾向であること、また、この忌避が協力者としての評判を傷つけるリスク全般を回避する評判管理の機能を持つ心理機序の副産物でありうることが、二つのサブ実験の結果から示唆された。一方、独裁者役忌避自体は、評判を守るような、異なる状況間で一貫した協力傾向につながる訳ではないことも示された。このサブ実験により、オンラインでの本実験の実施が可能なことも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本実験の準備を兼ねたサブ実験の実施を通じ、研究手法の習得・修練およびヒトのパートナー選択にまつわる心理機序についての理解が進んだ。サブ実験の成果について学会での研究報告も複数行った。一方、本実験の実施と論文発表はやや遅れている。 この遅れは、元々は本実験を複数の参加者が同時に参加できる対面実験室で実施する予定であったが、そのために使用予定だった参加者プールおよび対面実験室に研究代表者がアクセスできなくなる可能性が浮上し、それに伴い実験室設備を要さずにオンラインで本実験を実施できるよう研究計画の見直しを行なったためである。また、実験操作が従属変数に与える効果を検証するという目的に鑑みて対面実験であるか否かは大きな影響を持たないと予測される点、参加者プールの大きさに限りのある対面実験よりもオンライン実験の方が一度に複数の参加者を安定して集めることが容易となり実験実施がスムーズとなる点、さらに、オンラインでの参加者募集によりサンプルの地域性や人口学的属性に多様性を持たせることで仮説検証の一般化可能性を高められる点などからも、オンラインで実験を実施することが妥当と考えらえる。計画見直しに伴い、本実験の実施にあたっての倫理申請および実験実施と実験データの保存に用いる大容量の内蔵ストレージを備えたハイスペックのラップトップPCの購入を次年度に見送った。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、前年度に準備済みのマテリアルとリソースを用いて速やかに倫理申請と仮説・手法の事前登録を行い、オンラインでの本実験を実施する予定である。
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