研究課題/領域番号 |
23K12866
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
工藤 大介 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (70804152)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フードファディズム / 認知的熟慮性検査 / 包括的思考スタイル尺度 / 意思決定 / 消費者行動 / 食品リスク / 二重過程理論 |
研究開始時の研究の概要 |
特定の食品・栄養の健康への影響を誇大に信奉する現象であるフードファディズムは,人々の生命・健康と直結することから,消費者の不合理な意思決定の中でも特に注目を要する行動である。しかし従来の研究は事例分析が中心であり,フードファディズムを引き起こす心理的メカニズムへの検討は黎明期に過ぎない。定量的アプローチの土台であるフードファディズムの信奉度の測定法の開発や,影響要因の因果関係の特定など,喫緊な課題が多数存在している。本研究では,意思決定研究における消費者の不合理な購買意思決定の研究手法から出発し,フードファディズム発生に至る心理的メカニズムを検討する。
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研究実績の概要 |
フードファディズムとは,何らかの食品や栄養が健康と病気に与える影響を誇大に信奉することを指す。2023年度の研究の目的は,「直感的意思決定過程と論理的意思決定過程によるフードファディズムへの影響の比較を行う」という問いについて,検討を行うことであった。2023年11月から12月にかけて3回の一般成人を対象としたオンライン調査を行い,フードファディズム傾向と,熟慮・直観的意思決定過程のスタイルに関する指標について,詳細なデータ収集を行った。具体的には認知的熟慮性検査(CRT)とその拡張版,包括的思考スタイル尺度(CTSQ)に対して回答を求めた。 2023年度以前に取得したデータの分析結果では,フードファディズム傾向やフードファディズム的食品の購買意図と意思決定過程のスタイルの間には相関は見られたものの,一般化線形モデルでは,意思決定スタイルから購買意図への有意な関連は見られなかった。そこで,今回の分析の際には,意思決定スタイルからフードファディズム傾向への関連,フードファディズム傾向から購買意図への関連を想定した媒介分析を実施した。分析結果は媒介モデルが一貫して支持され,意思決定スタイルが直接的に食品の購買意図を決定していない可能性が示唆された。 2023年度の研究成果からは,これまでの先行研究で指摘されてきたような,意思決定のスタイルが直接的に態度や行動指標を決定づけているわけではなく,何らかの個人特性を媒介する可能性が得られた。つまり,意思決定スタイルがフードファディズム傾向を規定し,そこからフードファディズム的食品の購買へと至る,フードファディズム発生プロセスの一端が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研課題の申請を行った後,異動が発生したため,年度開始時の研究開始に遅れが発生していた。しかし,研究協力者の協力等によりその後はスムーズな研究遂行をすることができ,複数のデータを収集することができた。2024年度についても同様の進捗が見込めると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究目的は「フードファディズムへの信奉の程度について測定方法の開発」である。2024年度前半は既存尺度の妥当性分析と,尺度項目選定のための調査を実施し,新尺度を開発する。2024年度後半は開発した尺度をもとに,その因子構造の分析や妥当性の検証を行うための調査を実施する。調査実施にあたってのプラットフォームについては,研究協力者により既に構築済みであり,調査実施・データ収集にあたっての問題はない。
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