研究課題/領域番号 |
23K12881
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 東京成徳大学 |
研究代表者 |
湯 立 東京成徳大学, 応用心理学部, 助教 (40875605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 退屈に対する信念 / 動機づけ調整 / 高校生 / 大学生 / メタ動機づけ的信念 / エンゲージメント / 自己調整学習 / 発達 |
研究開始時の研究の概要 |
主体的に学ぶ(自己調整しながら学ぶ)学習者を育てることは、初等中等教育から高等教育までの各教育段階において、その実現を目指している。優れた自己調整学習者であるための条件の1つとして、動機づけの自己調整の重要性が広く認められている。近年、動機づけの自己調整研究の新しい視点として、自分の動機づけ状態および動機づけプロセスに関する認知である「メタ動機づけ」が提唱されている。本研究では、メタ動機づけ的知識(信念)に焦点を当て、動機づけ体験の可変性に対する信念が動機づけ調整、学習への取り組みに及ぼす影響を検討し、動機づけ調整を促す学習支援を提案する。
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研究実績の概要 |
2023年度には,高校生と大学生を対象として,「退屈に対する信念尺度」を作成し,その信頼性と妥当性の検討を行った。まず,先行研究および予備調査の結果をもとに,「退屈に対する信念尺度」の原案(35項目)を作成した。そして,高校生479名から得られたデータに対して探索的因子分析を行った結果,退屈に対する信念は,「前向きなサイン」,「制御可能性」,「否定的なサイン」,「有害性」の4因子から構成されることが示された。その後,大学生424名から得られたデータに対して確認的因子分析を行ったところ,4因子モデルの適合度が概ね許容範囲内であることが確認され,尺度の構造的側面の妥当性と一般化可能性の側面の証拠が得られた。また,内的一貫性と時間的安定性の2側面から,尺度の信頼性が確認できた。さらに,高校生と大学生の2つのサンプルにおいて,「前向きなサイン」および「制御可能性」はエンゲージメントと正の相関がみられ,「否定的なサイン」および「有害性」は学習中の退屈と正の相関がみられた。また,「制御可能性」は感情の可変性信念との間に,「有害性」はネガティブ感情が無用であるという信念との間にそれぞれ正の相関がみられた。以上のことから,尺度の外的側面の妥当性についての証拠が得られた。 学校段階による退屈に対する信念の強さの差を検討したところ,いずれの下位尺度においても高校生と大学生の間に有意な差はみられなかった。「退屈に対する信念尺度」の因子間相関を見ると,大学生サンプルでは,「前向きなサイン」と「否定的なサイン」の間には弱いの正の相関がみられ,「否定的なサイン」と「有害性」の間には比較的に強い正の相関がみられた。この結果から,大学生は高校生よりも退屈を多角的に捉えている一方で,退屈の有害性と否定的なサインの意味を区別しなくなる傾向が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,中学生から大学生を対象として様々な動機づけ体験に対する信念の尺度を作成する予定であった。動機づけ体験に対する信念の多面性と複雑さを踏まえ,今年度はまず「退屈」という動機づけ体験に着目し,「退屈に対する信念尺度」を作成することにした。高校生と大学生を対象とした調査は予定通り実施できたが,中学生の回答数がまだ少ないため,追加でデータを収集する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2つの研究を進める予定である。まず1つ目は,「困難感」という動機づけ体験に焦点を当て,制御可能性の認知という側面を含む困難に対する信念尺度を作成することである。2つ目は,動機づけ体験に対する信念と動機づけ方略の使用,学習への取り組みの関連について,日誌法を用いて調査する予定である。
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