研究課題/領域番号 |
23K12897
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
久保 浩明 宮崎大学, 医学部, 助教 (00943549)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会的ひきこもり / ひきこもり支援モデル / 支援者スキル評価 / 尺度開発 / ひきこもりの支援要素 / 支援者支援プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
3年間の本研究では、ひきこもり支援に従事する支援者を対象に質的手法および量的手法を組み合わせた混合研究を実施し、ひきこもり支援に影響を及ぼす支援者要因を詳細に抽出する。本研究では支援者のひきこもりに関する知識や対処スキル、態度を体系的に測定可能な支援者スキル評価尺度を開発する。さらに支援者のスキル向上プログラムの暫定版を開発・実施し、本研究で開発した支援者スキル評価尺度や自由記述データを参加者から取得することで、支援者スキル向上の介入目標となりうる支援者要因を詳細に検討することを目指す。
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研究実績の概要 |
3年間の本研究では、社会的ひきこもり(以下、ひきこもり)支援に従事する支援者を対象に、ひきこもり支援に影響を及ぼす支援者要因を測定・抽出し、ひきこもり支援スキルの向上を図る手法開発を目指す。2023年度は主に支援者スキルを簡便に測定し、自らの支援を振り返るための「ひきこもり支援者スキルチェックリスト」の開発を進めた。ひきこもり支援者9名のインタビュー調査をもとに支援者の行動を抽出し、ひきこもり支援に関するガイドラインや書籍から項目を作成することで、90項目から成るドラフト版尺度を作成した。2023年9月に宮崎県内の支援者を対象とした予備調査を実施し、43名の回答をもとに尺度項目を修正した。修正にあたり、報告者を含む心理士及び精神科医から構成されるワーキングチームによる合議を実施した。その結果、39項目が選定された。2023年11月から12月にかけて本調査を実施し、全国のひきこもり地域支援センター118箇所に尺度冊子を送付し、238名の回答を得た。回答をもとにチェックリストの信頼性および妥当性を検討したところ、ひきこもり支援に関する研修の受講回数とチェックリストの総得点に有意な正の相関を認めるなど、一定程度の信頼性および妥当性を確認することができた。また、ひきこもり支援経験期間、担当ケース数に加えて、研修の受講回数およびひきこもり関連の書籍読書数が支援スキルに関連することが示唆されており、支援経験の蓄積に加えて定期的な学習機会が支援者のサポートに求められることが実証的に支持されたと考えられる。支援者スキルを測定する尺度はこれまで存在しなかったことから、本チェックリストを用いることで支援者要因の抽出や支援者スキル向上の手法開発に資することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度を通じて、ひきこもり支援に従事する支援者のスキルを簡便に評価する尺度開発を目標とした。尺度項目作成、予備調査、尺度改訂、改訂版の尺度を用いた本調査のいずれも当初のスケジュールに沿って実施できたと考えられ、また信頼性および妥当性が検証された尺度を開発することができたことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標のひとつであるスキル評価尺度開発が概ね完了したことから、今後は並行してもうひとつの研究目標であるひきこもり支援に従事する支援者のスキル向上を図るプログラム開発を進め、プログラムのパイロット試験実施に向けた準備に取り組む。これらの成果を国際誌に発表できるようデータ整理および解析を進める。また、プログラムを他の支援機関で利用できるようにプログラム一式のマニュアル化や手引きの作成を行い、社会実装化の可能性を探る。
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