研究課題/領域番号 |
23K12900
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
森下 千尋 東京医科大学, 医学部, 講師 (70936559)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 月経前不快気分障害 / うつ病 / 小児期虐待 / 被養育体験 / 神経症的特質 / 対人関係敏感性 / 特性不安 / 抑うつ的反すう / パーソナリティ特性 / 小児期ストレス / 成人期ストレス / 大うつ病性障害 |
研究開始時の研究の概要 |
月経前不快気分障害(PMDD)の有病率は有月経女性の3~8%であると推定されている。しかし、PMDDの病態と治療に関しては明らかでない部分が多い。本研究では、PMDDの病態の理解を深めることを目的とし、PMDD症状との関連が想定される複数の要因を総合的に検討することとした。すなわち、遺伝的要因、小児期ストレス、成人期ストレス、パーソナリティといった因子がPMDD症状に複雑に影響しているという仮説を構築し、媒介作用・調整作用の観点から多変量解析により検討することとした。さらに、卵胞ホルモン/黄体ホルモンのPMDD症状における病態・病的意義についても検証することとした。
|
研究実績の概要 |
1. 2023年度には、まず、うつ病を含む一般成人を対象に実施した質問紙調査データを用いて、小児期の養育体験、虐待、いじめが対人関係敏感性、神経症的特質、特性不安、抑うつ的反すうへの影響を介して、成人期のうつ症状を悪化させ、ウェルビーイングを低下させるという仮説を検証した。以下のような結果が得られ、小児期のストレスが他の因子とともに複合的に成人期のうつ症状に影響することが明らかとなった。 ・小児期の低養育、過保護は、対人関係敏感性や否定的ライフイベント(成人期ストレス)を増強し、間接的に、成人期のうつ症状を増強する。 ・小児期のいじめは、特性不安を増強し、さらに抑うつ的反すうを増強することにより、間接的に、成人期のうつ症状を増強する。 ・小児期の虐待は、神経症的特質への影響を介して、間接的に、成人期のウェルビーイングを低下させる。 2. 月経前不快気分障害(以下、PMDD)は抑うつ症群に分類され、うつ病と共通した病態基盤を持つと想定されている。うつ症状に関しての上記発見を考慮し、PMDDを含む一般成人女性を対象に実施した質問紙調査データを用いて、小児期の被虐待体験が神経症的特質への影響を介して、PMDD症状を増強するという仮説を検証している。また、PMDD症状による機能障害に着目し、小児期の被虐待体験、神経症的特質の影響を一般成人女性において検討している。小児期の被虐待体験、神経症的特質が複合的に成人期のPMDD症状及び機能障害に影響することが明らかとなりつつある。さらに、今後は卵巣ホルモンの測定を行い、生物学的要因の関与についても検討していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数のデータを集め、多変量解析によりうつ病及び月経前不快気分障害にとって重要な所見が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
多数のデータを集め、うつ病と心理社会的因子の関連、月経前不快気分障害(以下、PMDD)と心理社会的因子の関連を検討し、うつ病とPMDDの共通した心理社会的背景が示され、うつ病とPMDDが共通した病態基盤を持つことが裏付けられつつある。研究はおおむね順調に進展していると言えるが、2023年度は生物学的要因の関与について検討できなかった。今後は、研究計画にも記載されている通り、生物学的要因の関与について検討を行い、研究成果を得たい。
|