研究課題/領域番号 |
23K12901
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
富田 望 東京学芸大学, 教育学部, 特任講師(Ⅰ種) (30823364)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 社交不安症 / 自己注目 / バーチャルリアリティ / 視線計測 / スピーチ課題 / 視線追尾 |
研究開始時の研究の概要 |
社交不安症 (Social Anxiety Disorder: SAD) は、10人に1人が罹患する精神疾患であり、自己注目(自己への過度な注意)という注意の問題が中核的な維持要因となっている。本研究では、①眼球情報から社会的場面の自己注目状態を検出する方法論を確立すること、②①の指標を用いながら、状況への再注意法という注意コントロールに関する介入技法の奏功機序を明らかにすること、③仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) のテクノロジーを活用することで、状況への再注意法が最適化されるのかを検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
第1に、聴衆のいるスピーチ場面を再現したバーチャルリアリティ(VR)空間の中で自己注目の程度を定期的に評定するシステムを開発した。そして、自己注目の変動に合わせて、スキャンパス、注視回数、瞬目数が変動するのかを明らかにするための実験研究を行った。このVRシステムは、スピーチ評定者が映ったVRを視聴しながらスピーチ課題を6分間行い、30秒に1回の頻度で、どの程度自己注目をしていたかを呈示された画面に従って0―100で回答するプログラムになっている。また、スキャンパス、注視回数、瞬目数を計測できるVRゴーグルを用いて、VR視聴中の眼球情報と自己注目度の関連性を検討した。 現時点で収集した60個のデータについて途中経過の解析を行った結果、対象者の社交不安傾向に関わらず、スピーチ中に自己注目が高まるほどスキャンパスが短くなることが示された。また、社交不安傾向が高い者において、スピーチ中に自己注目が高まるほど注視回数が減ることが示された。一方、瞬目数については、自己注目の変動と有意な関連は示されなかった。以上より、スピーチ中におけるスキャンパスと注視回数を計測することで、社会的場面における自己注目状態をリアルタイムに推定できる可能性が考えられた。 第2に、研究2で使用する視線知覚課題について、自己注目との関連性を明らかにするために、大学生28名を対象に、視線知覚課題とスピーチ課題を実施し、スピーチ課題中における自己注目の程度を質問紙で測定した。相関分析の結果、視線知覚課題とスピーチ課題中の自己注目との間に有意な中程度の正の相関がみられ、視線知覚の幅 (自分が見られていると感じる他者の視野角)が広い者ほど、スピーチ中に自己注目が高まったことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の中核に位置づけられる、「スピーチ場面を再現したバーチャルリアリティ(VR)空間の中で自己注目の程度を定期的に評定するシステム」の開発が完了し、データ収集を進めており、途中解析においても概ね仮説通りの結果が示されているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究1のデータ収集を進め、社会的場面における自己注目状態をリアルタイムに計測・推定するシステムを完成させる。さらに、研究2と研究3で使用する、VRを用いた自己注目低減プログラムの開発を進める。
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