研究課題/領域番号 |
23K12922
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
野中 俊介 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (90821736)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ひきこもり / 認知行動療法 / 機能 / 社会的交流 / 動機 / 生活の質 |
研究開始時の研究の概要 |
「HIKIKOMORI」という用語は,オクスフォード英語辞典に収録されるなど国際的な共通用語になりつつあり,日本はこの分野における研究をリードしてきた。近年はパンデミックによって社会的孤立の問題が国際的に急速に注目されつつある一方で,残念ながら,ひきこもり者への心理学的支援法は十分に効果を得られているとは言いがたい。 この理由の1つとして,個々人にとってひきこもり行動がどのような役割をもつかという,ひきこもりが維持される「機能」が多様であることがあげられる。そこで本研究は,ひきこもり機能の個人差やその変化が生活の質や社会的交流行動とどのように関連するかを明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は,まず関連する研究動向のレビューを行った。また,半構造化面接および質問紙調査によって,ひきこもりからの改善プロセスにおける認知行動療法的観点からみたひきこもり状態の「機能」と生活の質の役割を質的に記述した。ビデオ通話による半構造化面接においては,ひきこもり始めた前後,最もひきこもっていたときの前後,現在の3時点とその過程について,ひきこもり状態の背景や意味と心理行動的状態について聞き取った。また,質問紙調査においては,最もひきこもっていた時期および現在の2時点について回答を求めた。質問紙には,ひきこもり経験の有無やひきこもり期間,性別,年齢,外出頻度などに加えて,ひきこもりの機能をアセスメントする尺度,ひきこもり状態の程度をアセスメントする尺度,精神症状をアセスメントする尺度,主観的幸福感をアセスメントする尺度,社会参加困難感などが含まれた。 参加者はひきこもり状態の経験者16名(女性10名,男性6名)であり,年齢は26~63歳であった。16名のうち3名は現在もひきこもり状態であると回答した。質問紙調査の結果,最もひきこもっていた時期と比較して,現在は有意にひきこもり状態の程度(p < .001, d = 1.68),精神症状(p < .001, d = 1.49),社会参加困難感(p < .001, d = 1.45)が低く,主観的幸福感が高かった(p < .001, d = 1.51)。また,半構造化面接の結果,最もひきこもっていた時期においては,対人関係からの回避を含む社会的負の強化という機能がひきこもりを維持させていた参加者が最も多かった(8名)一方で,現在においては,他者に媒介されない機能を含む自動的正の強化によってひきこもりが維持している参加者が最も多かった(7名)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,研究1として,半構造化面接および質問紙調査によって,ひきこもりからの改善プロセスにおけるひきこもり状態の「機能」と生活の質の役割に関する質的な記述を行った。研究2の研究計画も予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に収集したデータを用いて,学会発表および論文投稿の準備を行う。また,最もひきこもっていた時期と現在の2時点における回顧的な質問紙調査によって,ひきこもり機能の変化が社会的交流行動と生活の質に及ぼす影響を検討する。
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