研究課題/領域番号 |
23K12923
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
嶋 大樹 追手門学院大学, 心理学部, 講師 (00835788)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アクセプタンス / 変容プロセス / 臨床行動分析 / 言語行動 |
研究開始時の研究の概要 |
心理的支援において学派横断的に注目される概念に,さまざまな体験との積極的な接触/受容を指すアクセプタンスがある。当該概念は心理療法各学派における共通要素の理解をもたらしうるが,基礎研究との接続が弱く,その理解は不十分である。そこで本申請課題では, アクセプタンスの作用機序解明とその適切な応用を目指し,基礎研究に基づく概念整理/実証と,介入の精緻化を目的とする。 本研究では,新たな分析枠を採用してアクセプタンスの概念分析を実施し,その分析の妥当性を実験を通して検証する。さらに,個々のクライエントに最適化された介入の運用法の記述を目指し,臨床場面で参照可能な指針の提供に向けた介入実験を実施する。
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研究実績の概要 |
心理的支援において学派横断的に注目される概念に,さまざまな体験との積極的な接触/受容を指すアクセプタンスがある。当該概念は心理療法各学派における共通要素の理解をもたらしうるが,基礎研究との接続が弱く,その理解は不十分である。そこで本研究では, アクセプタンスの作用機序解明とその適切な応用を目指し,基礎研究に基づく概念整理/実証と,介入の精緻化を目的とする。 本研究では,新たな分析枠を採用してアクセプタンスの概念分析を行なう。初年度は,アクセプタンスに着目した介入モデルを参照し,理論的に想定されるプロセスについて記述することを目標とした。関連する文献を収集し,「アクセプタンス」という語がa)どのような経緯で着目されるようになったのか,b)どのような文脈で使用されているのか,c)想定される効果にはどのようなものがあるのか,d)想定されるメカニズムとしてどのような心理的作用が挙げられているのか,e)関連する基礎的な研究にはどのようなものがあり,その結果は何を示しているのかといった点の整理に着手した。 関連文献を幅広く収集して整理を継続しているため,現時点では明確な結論を示すことは困難である。しかしながら,新たな分析枠として「言語行動」に着目することで,そのプロセスを統一的に記述する可能性がある。臨床的な効果を産出する際の背景プロセスを記述することで,介入の意図や目的を自覚しやすくなることが期待される。本研究では,そのような視点を,新たな枠組みから提供し,基礎―応用のどちらにも有益な情報を提供できる可能性がある。 なお,これまでの整理で,アクセプタンスの中核として「現在の体験との防衛なしの接触」という要素が抽出可能である。引き続き,言語行動との関連からその機能やメカニズムを明確化できるように整理を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定外の業務依頼が重なり,本研究課題に割けるエフォートの見直しが必要となった影響で,文献の整理に時間を要している。また,歴史的な経緯も含めて整理することを試みているため,確認すべき文献数が予想を上回っている。さらに,入手しづらい文献の確保に難渋している点も要因のひとつである。
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今後の研究の推進方策 |
計画していた実験研究へ進むためには,精緻な概念整理が求められる。現在のアクセプタンス概念を取り巻く状況は,用語の使用法も含めて混乱していることが明らかとなってきているため,前提条件の整理にエフォートを割く必要があると考える。したがって,以降の研究の土台を固めるためにも,概念分析を重点的に進めるよう,計画の一部見直しが必要と考える。 しかしながら,計画した内容を少しでも達成するために,確認すべき文献の厳選や研究計画の立案を並行して実施するなどの対策を講じる。 当面の目標としては,概念分析の一部の論文化と予備実験の実施とする。
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