研究課題/領域番号 |
23K12925
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
則武 良英 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (30908786)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 認知的再評価 / 感情制御 / ワーキングメモリ / エピソードバッファ / 筆記開示 |
研究開始時の研究の概要 |
認知的再評価とは,出来事への評価を変容することで感情を制御する方略で,精神的健康において高い効果が示されているが,そのメカニズムには未解明点が多い。そこで本研究では,認知的再評価を「既存の情報に新たな情報を統合処理することで新たな評価を生成する働き」として捉えて,ワーキングメモリのエピソードバッファの役割を調べることを目的とする。本研究では,認知的再評価とエピソードバッファの関係を実験的に明らかにし (研究1),言語解析によって質的にも検討を行う (研究2)。最後に,情報の効果的な統合処理を促進する介入方法を考案することで,認知的再評価の効果的な支援方法を開発する (研究3)。
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研究実績の概要 |
本研究は,人の感情制御の方略の中でも特に精神的健康への肯定的影響が大きい「認知的再評価」という方略を,人の情報処理能力(ワーキングメモリ)の視点から捉え直す研究である。本研究の目的1は,エピソードバッファと認知的再評価の関係を実験的に検討することであった。今年度は,(1)論文等の資料収集,(2)学会での情報収集,(3)実験の実施準備の3点を中心に計画を進めた。(1)論文等の資料収集では関連する先行研究を中心に最新の知見を収集した。エピソードバッファに関する研究では,欧米のみならずアジアでも研究が活発化してきており,主に教育心理学の分野で論文数が増加傾向であった。一方で,感情心理学の分野では,まだエピソードバッファに関する研究は少ないが,ワーキングメモリに関する研究はそうか傾向であった。エピソードバッファの概念は提唱されて20年以上経過するが,その測定方法は未だ限定的であるため,実験課題の選定及び作成を慎重に行う必要がある。(2)学会での情報収集では,感情心理学系の心理学会にて感情制御及び認知的再評価に関する議論を行い,国内の最新の知見を収集した。(3)実験の実施準備では,実験で使用する機材の購入を行い,(1)を踏まえてエピソードバッファの測定のための実験課題のプログラムを作成した。また,(1)で収集した先行研究の論文をもとに,認知的再評価を測定するための実験課題のプログラムを作成した。実験実施及び解析は次年度を予定している。 本研究の目的2(認知的再評価におけるエピソードバッファの具体的役割を量的・質的に検討する)及び,目的3(エピソードバッファの視点から認知的再評価を促進する方法を提言する)については,目的1を遂行した上で,次年度以降に遂行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の進捗としては,本研究の目的1の「エピソードバッファと認知的再評価の関係を実験的に検討すること」を遂行している段階である。当初の計画では,今年度中に実験実施を完了している予定であったが,エピソードバッファの概念整理と実験課題作成に時間を要したために,今年度中の実施には至らなかった。以上のことから,進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,次年度は本研究の目的1の実験を遂行し,結果をまとめることを目指す。その後,得られた結果おもとに,認知的再評価におけるエピソードバッファの具体的役割を検討するために,追加実験の実験課題の作成を行い,目的2についても順次検証を進めることを計画している。
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