研究課題/領域番号 |
23K12934
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山田 千晴 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (80878356)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 運動学習 / 視覚運動順応 / 内部モデル / 潜在的学習 / 意識的戦略 / 内部モデル切り替え / 加齢 / 脳損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は寝転んでいても水中でも,自分の腕を自在に動かすことができる。これは,我々が様々な環境下で身体の動かし方を学習してきたためである。ただし,ヒトが環境に応じて身体運動を制御するためには,新しい環境に適した運動のモデルを獲得するだけでなく,複数のモデルを環境変化に応じて切り替える機能を獲得する必要がある(図1)。本研究では,行動と脳機能の双方からモデル切替機能を検討することで従来理論を更新し,柔軟なヒト運動学習を支える神経メカニズムの解明を目指す。さらに,運動障害のリハビリをおこなう臨床現場でも利用可能な運動学習評価パッケージを作成する。
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研究実績の概要 |
本年度は,本研究課題における計画1~計画3のうち計画1「内部モデル切り替え機能の獲得過程をモデル化」を進めた。計画1では,意識的戦略・潜在的学習に対応する2つの状態変数に加え,内部モデル切り替え機能を表す状態変数を導入し,内部モデル獲得機能の保持率(忘却率)と学習率(更新率)のパラメータを推定するための行動実験を実施した。行動実験は健常若年者を対象としたもので,20名分のデータを取得した。 また,本年度は国内での研究活動に加え,2024年度以降におこなう予定であった海外研究機関での研究活動を前倒しで2023年度におこなった。2023年度におこなった海外渡航では,The Arctic University of Norway(ノルウェー)において本研究課題のデータ解析をおこなった他,現地の連携研究者に対して本研究課題に関する一部のデータから得られた成果を発表し,ディスカッションをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画1では健常若年者50名を対象に行動実験を実施する予定であった。しかし,研究代表者の妊娠・出産に伴い3ヶ月間の研究活動中止期間があったため,データ取得数は20名分にとどまっている。しかしこの遅れは,2024年度以降におこなう予定であった海外研究機関での研究活動を本年度に前倒しでおこなったこと,また計画1を今後継続的におこなうことによって解消することができ,当初の計画と同様の成果を期待することができる。
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今後の研究の推進方策 |
先述の研究計画変更を受け,2024年度以降に計画されていた海外での研究活動(実験実施等の出張ならびに学会出張)を一部おこなわないことに変更した。研究計画変更後も,本研究計画遂行期間中には最低1回は国際学会での成果発表の場を設ける他,国内学会での成果発表をおこなう。また当初の計画と変わらず国際誌における論文投稿を計画している。そのため,本研究課題の成果発表をおこなう機会は今回の研究計画変更によって損なわれることはない。 【2024年度】計画1を継続する他,計画2 内部モデル切り替え機能の獲得を支える神経基盤を解明」を進める。脳活動計測実験を通し,計画1で推定した内部モデル切り替え機能の状態変数がどの脳部位の活動の重み付き和として表現されるのかを明らかにする。 【2025年度】計画2を継続する他,計画3「加齢と脳損傷が内部モデル切り替え機能に与える影響を解明」を進める。計画1で構築したモデルにおいて意識的戦略の重み付けを弱めたものを高齢者モデルとして作成する。また,主病巣に合わせて高齢者モデルの各パラメータを小さくしたものを,患者ごとの損傷モデルとして作成する。行動実験(健常高齢者50名,小脳または頭頂葉を主病巣とする脳損傷患者15名程度)をおこない,計画2で明らかにした各脳部位の寄与度に基づき,意識的戦略の減弱および特定脳部位の損傷が内部モデル切り替え機能の獲得プロセスをどのように変化させるかを明らかにする。 【2026年度】計画3を継続する。計画1および計画2の成果,計画3の成果はそれぞれ論文にまとめ国際誌へ投稿する。これと並行して国際学会における研究成果発表もおこなう。また,本研究の追従運動課題をベースに,短時間かつ軽負荷な行動計測によって運動学習を評価するパッケージを作成し,高齢者施設や回復期リハビリ病棟での試用を4年めに開始する。
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