研究課題/領域番号 |
23K12935
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤巻 峻 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (80811421)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 習慣的行動 / 目的的行動 / 連合学習 / オペラント(道具的)条件づけ / 依存 / 消去 / 再発 / 低価値化 / 習慣 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む動物の随意行動には、R-O(目的的)構造とS-R(習慣的)構造という2種類のシステムが共存しそれぞれが行動に影響を及ぼす。私たちが行動を獲得する際には、R-O構造が優勢な目的的行動としての学習が生じる。しかし長期間その行動を繰り返す経験を経て、次第にS-R(習慣的)構造による制御が優勢な習慣的行動に遷移することが知られている。本研究ではこの逆のプロセス、すなわち「習慣的行動から目的的行動への逆遷移」を成立させる要因を体系的に検証する。さらに、薬物やギャンブルに対する依存症など過度の習慣性に特徴づけられる様々な不適応行動の、効率的かつ持続的な消去を可能にする具体的な方略を提案する。
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研究実績の概要 |
本年度は、習慣的行動から目的的行動への逆遷移を成立させる要因を明らかにすることを目指し、ラットを用いたオペラント(道具的)条件づけ事態での行動実験を中心に遂行した。研究1では、目的的な制御が優勢な行動と習慣的な制御が優勢な行動を消失させた後、同じ性質を保ったまま再発するかどうかを、ABA更新効果の実験パラダイムで検証した。具体的には、(1)初めに実験文脈Aでレバー押し反応を訓練した。(2)異なる実験文脈Bでレバー押し反応を消去テストした。(3)消去テストの前または後に、レバー押し反応を維持していた強化子(報酬)を摂取させた後に塩化リチウムを投与し、強化子の価値を低減する低価値化操作を実施した。(4)脈Aに戻して消去された反応の再発をテストした。その結果、消去前に低価値化を行った場合には、習慣的行動は同じ習慣的行動として再発したが、消去後に低価値化を行った場合には目的的行動として再発することを発見した。 研究2では、反応復活の実験パラダイムで目的的行動と習慣的行動の再発過程を検証した。(1)レバー押し反応を長期間訓練した。(2)強化子の低価値化操作を行った。(3)消去テストでレバー押し反応は習慣的行動として獲得されたことを確かめた。(4)レバー押し反応は引き続き消去しつつ、新しく代替反応としてチェーン引き反応を訓練した。(5)代替反応を消去して、レバー押し反応の再発をテストした。その結果、習慣的行動は目的的行動として再発した。 以上より、本研究では、消去後の低価値化操作の導入と代替反応訓練が、習慣的行動から目的的行動への遷移を引き起こすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
習慣的行動から目的的行動への逆遷移を成立させる要因の同定という本年度の目的を達成できた。したがって、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に明らかにした習慣的行動から目的的行動への逆遷移現象について、神経科学的な根拠を探求することを次年度の計画としていた。しかし研究代表者の異動に伴い、計画通りに実施することが困難な状況にある。対応策として研究の実施順序を入れ替え、最終年度に予定していた研究を次年度に実施する。同時に、当初は次年度に予定していた研究の準備も進めていく。
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