研究課題/領域番号 |
23K12937
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
原田 佑規 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (80869280)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | Spatial cognition / Spatial orientation / Attention / Cognition / Virtual reality / Eye movement / 空間定位 / 視空間認知 / バーチャルリアリティ / ヒューマンセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
本申請では,バーチャルリアリティを用いた計測手法を開発して全天球の空間定位特性を明らかにすることを目的としている。さらに開発した計測プログラムをオープンソース化し,手軽に全天球の空間定位特性を計測できる環境を提供することで,研究分野全体の活性化を目指す。
|
研究実績の概要 |
2023年度は,研究倫理審査の承認,全天球の視空間定位能力の計測プログラムの開発,予備実験の実施,そして予備実験の論文化であった。まず,申請者の所属組織の中で研究を実施するために研究倫理審査を受け,倫理委員会から承認を得た。次に,視空間定位特性を計測するためのプログラムの試作を開発した。このプログラムでは,参加者はヘッドマウントディスプレイとコントローラを装着することで,仮想空間の中で刺激呈示と反応取得を可能としている。この計測プログラムを用いて,視覚情報に対する全天球の空間定位の精度を予備的に計測した。この実験では,特定の方位を示す視覚刺激(三角やレーダなど)が0.5秒間呈示されて,その刺激が示す空間包囲に対して参加者はコントローラを向けた。その結果,周囲の空間に対して俯瞰的な情報を包括した刺激は視空間定位の精度を高めることが明らかとなった。また,自閉傾向の高いものはそうでないものよりも,緯度方向の空間定位の精度が高い可能性が示唆された。この結果は,自閉症者の空間認知における非定型性を空間定位の観点から説明しうる可能性を持っている。最後に,この実験結果を論文にまとめて査読付き国際学術誌(Frontiers in Virtual Reality)にて出版した。また,本プロジェクトに関連する研究を続けており,それが査読付き国際学術誌であるFrontiers in Psychiatryから出版された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの目的の1つを達成したためである。本プロジェクトでは,全天球の視空間定位特性を計測するためのバーチャルリアリティ技法を開発し,その技法を一般公開することである。現時点で計測技術のプロトタイプを開発し,予備実験を行った結果を論文にまとめてFrontiers in Virtual Reality誌にて出版した。よって本プロジェクトはおおむね順調に進捗していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進捗方策は2つある。1つ目は,バーチャルリアリティを用いた視空間定位特性の計測技術を一般公開することである。そのためには,現在手元にあるプロトタイプの機能やUIを最適化する必要がある。2つ目は,開発した技術を用いて,発達特性と視空間定位特性の関係に関する基盤研究を実施することである。Harada & Wada (2023) において,自閉傾向の高いものは緯度方向の視空間定位に非定型性を持つ可能性が示唆された。しかしながら,この研究では定型発達者の自閉傾向を説明変数としていたため,この非定型性が自閉症者にも当てはまるかは明らかでない。そこで,今後はこの可能性を検証すべく心理実験を予定している。
|