研究課題/領域番号 |
23K12962
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小野 雅隆 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (20803571)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 有限多重ゼータ値 / 対称多重ゼータ値 / 双対関係式 / 対称化写像 |
研究開始時の研究の概要 |
複シャッフル関係式は有限・対称多重ゼータ値の全関係式を生み出すと予想されている関係式族であるが, 基本的な関係式である双対関係式を導くかどうか未解明である. 対称化写像はバッハマン達が導入した多重ゼータ値と対称多重ゼータ値を繋ぐ調和代数上の写像である. 申請者は金子-ザギエの対称多重ゼータ値のシャッフル関係式を含む広い関係式を山本による持ち上げ定理を用いて対称化写像の像として捉え直すことに成功した. 本研究では, 関-山本による連結和の手法を調和代数上での手法に持ち上げることで双対関係式と対称化写像の関係を明らかにし, 有限・対称多重ゼータ値の双対関係式導出問題の解決を目指す.
|
研究実績の概要 |
今年度は以下の成果を上げた. (1) 有限・対称多重ゼータ値の双対関係式導出問題の解決に向けて, 精密化対称多重ゼータ値の打切り版の定義を試みた. まず随伴多重ゼータ値の結合子および反復積分の観点から精密化対称多重ゼータ値の定義と性質を整理した. そして随伴多重ゼータ値の結合子の変種を複数定義し, 満たすべきいくつかの性質の証明を試みた. またそれらの間の関係を考察した. (2) 関連研究も行なった. まず中間変数が2以上の正整数点における補間有限・対称多重ゼータ値の和公式が関真一朗氏によって予想されていた. 前阪拓己氏と川村花道氏と共同研究を行い, 補間有限・対称多重ゼータ値の大野型関係式から補間有限・対称多重ゼータ値の和公式のHoffman双対版とも呼ぶべき関係式を得ることに成功した. Hoffman双対を施してから和公式を考える視点はこれまでになく, 予想外の結果であった. (3)昨年度までに成果を得ていた一般の整数点に対する精密化金子-Zagier予想に関する論文(山本修司氏との共著)が Mathematiche Zeitschrift から出版された. 超幾何函数を用いた多重ゼータ値・有限多重ゼータ値・対称多重ゼータ値およびそれらの補間版の重み付き和公式に関する論文(前阪拓己氏および川村花道氏との共著)をarXivにアップロードおよびInternational Journal of Number Theoryに投稿し, 掲載が決定した. その他, 川村花道氏が定義した(t進)対称多重ポリログの特殊値の計算をいくつか行い, (精密化)金子-Zagier予想の観点から(pp進)有限多重ポリログの特殊値に対応することを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
精密化対称多重ゼータ値と結合子の関係を今一度整理でき, 精密化対称多重ゼータ値の打切り版の定義の候補をいくつか考察できたものの, 満足のいく定義は得られていない. 計画当初に想定していなかった補間有限・対称多重ゼータ値に関する結果は得られたことを踏まえても, やや遅れていると言わざるを得ない.
|
今後の研究の推進方策 |
精密化対称多重ゼータ値の打切り版の定義については引き続き試行錯誤する. また2023年度末に発表された前阪拓己氏, 関真一朗氏, 渡邉大貴氏による有限多重調和和に関する研究が注目されている. 彼らの研究により有限多重調和和を別の種類の有限多重調和和で書き表すことが可能になり, それらの差の漸近挙動を研究する新機軸が打ち出された. 精密化対称多重ゼータ値の打切り版への応用も有り得るので, 必要に応じて技術を習得する. (t進)対称多重ポリログの特殊値については, その定義の性質上通常の多重ポリログの特殊値の具体的な表示が必要になるので, 必要に応じて地道に計算を続ける.
|