研究課題/領域番号 |
23K12978
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
稲山 貴大 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 助教 (00907404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 特異エルミート計量 / L2評価 / L2拡張定理 / 大沢竹腰の拡張定理 / 中野正値性 / 乗数部分加群層 / Griffiths正値性 / 乗数イデアル層 / 正値性 |
研究開始時の研究の概要 |
幾何学において曲率という概念は非常に重要である。曲率とは大雑把には計量の二階微分に対応しており、そのため滑らかな計量についてしか定義できない。しかしある種の特異点を持っていたり滑らかとは限らない計量、通称特異エルミート計量は幾何学的に自然な設定で頻出する。その特異エルミート計量の曲率及び正値性を考え、関連する複素解析幾何学の諸問題について、L2評価法やL2拡張定理といった複素解析学の主要な定理を用いてアプローチしていくというのが、本研究の主な概要である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,HormanderのL^2評価法や大沢竹腰のL^2拡張定理といった複素解析的な技術を通じて,正則ベクトル束の特異エルミート計量の性質を明らかにすることにある.本年度は,共同研究で特異エルミート計量の中野正値性について研究した. 特異エルミート計量の中野正値性をどう定式化するかという問題は分野の長年の懸案であり,様々なアプローチが存在することが知られていた.特に,(1)滑らかな中野正値な計量による近似が存在する,という定義と,(2)特異エルミート計量がある種のL^2評価法の条件を満たす,という定義が存在した.この内,(2)の定義は私によって導入されたものである.我々はこれらのアプローチを比較検討することを始めた.その結果,特異エルミート計量が(1)の意味で中野正値であれば,(2)の意味で中野正値であることを示すことに成功した.加えて,ある種の順像層に対して(1)の意味で中野正値な特異エルミート計量を構成することに成功した.また,弱擬凸ケーラー多様体上の種々のコホモロジーの消滅定理を示すことにも成功した.この消滅定理は,既存の様々な消滅定理を特別な場合として包含する一般的な定理である.最終的にこれらの成果を論文としてまとめ,投稿した.また,前年度投稿していた論文がAnnales de l'Institut Fourier誌に受理された. 研究期間全体を通じて,特異エルミート計量に付随する乗数部分加群層の連接性,特異エルミート計量に対するL^2拡張指数,及び特異エルミート計量に関する中野正値性の定義と応用等について研究した.これらの研究成果は,今まで知られていなかった特異エルミート計量の種々の側面を明らかにするものであり,当初掲げていた「特異エルミート計量の性質を解明する」といった目的を十分に達成するものであると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
特異エルミート計量の中野正値性に対するより良い理解,結果を得ることが出来たため.特に,今まで存在していたいくつかの方針を包括することが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,特異エルミート計量の近似の理論を推し進めることを考えている.特に,ある種の順像層に入る特異エルミート計量に対して,その近似理論と中野正値性を解明することを目標としている.
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