研究課題/領域番号 |
23K12996
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
間瀬 崇史 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (80780105)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 可積分系 / 離散可積分系 / 代数的エントロピー / 可積分性判定 / 次数増大 / 特異点閉じ込め / 格子方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、特異点閉じ込めの情報から方程式の次数増大を計算する手法を用いて、差分方程式における可積分性判定を確立することである。この手法は、現時点では1次元格子上の方程式のみに適用されており、さらに、厳密性が担保されていないという欠点がある。これらの問題を解決することで、格子方程式の次数増大の計算手法を確立することを目指している。
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研究実績の概要 |
離散可積分系についての研究を、可積分性判定という観点から行った。特異点パターンから直接、2階常差分方程式の次数(あるいは次数増大)を計算するというアイディア(特異点の手法)が、少し前にHalburdによって提唱された。本研究の目標は、このアイディアをもとに、格子方程式(偏差分方程式)や高階の常差分方程式について次数増大を計算する一般的な手法を開発することである。 今年度の研究では、格子方程式の基本的なクラスであるquad equationと呼ばれるタイプの方程式に集中して解析を行った。研究の結果、quad equationにいくつか条件を課した場合に、特異点構造から次数を厳密に計算する手法を開発することができた。具体的な手法は以下のとおりである。 まず、余次元1となるような初期条件を考える限り、方程式の大域的な特異点構造は、局所的な特異点構造によって完全に支配されることがわかった。なお、方程式の局所的な特異点構造の特定については難しい計算ではなく、実際、特異点閉じ込めの研究において30年以上も行われてきている。 特異点の手法のアイディアを用いると、得られた大域的な特異点構造から、方程式の次数が満たす線形方程式が得られる。この線形方程式がいつ次数について解けるかという点も未解決であったが、今回、この問題についても答えを与えることができた。その結果は、「特異点パターンの開始点として登場しない値が存在するとき、次数が満たす線形方程式は次数について解くことができる」というものである。 今年度の結果により、方程式に良い特異点構造があれば、比較的簡単な計算(局所的な特異点構造の計算および線形計算)によってその次数を厳密に求められるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ある程度限られた状況に限定したとはいえ、当初想定していた手法とは別のアイディアによって、研究の最も困難な部分(大域的な特異点構造を計算する手法の開発)を解決することができてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果を一般化することができれば、格子方程式についての本研究の目標は達成される。よって今後は、今年度の結果を一般的な格子方程式へと拡張してゆく。来年度まず行うべきなのは、以下のとおりである。 ・一般的な2次元の格子方程式への拡張を行う。 ・3次元以上の格子方程式であって、構造が複雑ではないものへの拡張を行う。 ・今年度方程式に課した条件が満たされない場合の解析を行う。 なお、高階の常差分方程式については今年度用いたアイディアが役に立たないため、別途解析する手法を考える必要がある。
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