研究課題/領域番号 |
23K12998
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
高橋 仁 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (40813001)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 半線形熱方程式 / fast diffusion方程式 / 爆発解 / 特異解 / 正則性 / 臨界ノルム / 非線形放物型方程式 / fast diffusion equation / blow-up / extinction |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は非線形放物型方程式における解の特異性の生成・消失メカニズムを解明し,特異性の時間発展ダイナミクスを理解することである.その目的のため,半線形熱方程式における解の特異性の生成 (解の爆発) と fast diffusion 方程式における解の特異性の消失をそれぞれ考察する. 前者については方程式のスケール不変性から定まる臨界構造 (臨界ノルム) を指標とし,全ての爆発解に適用できる特徴づけを与えることで爆発解析の深化を試みる.後者については特異性消失に関わるレートやプロファイルを特定し,さらに対応する幾何学流における完備性の消失との関連も探っていく.
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研究実績の概要 |
冪乗の形の非線形項を持つ半線形熱方程式に対し,解の上限ノルムが有限時間で発散するとき臨界ノルムも爆発するか,という臨界ノルム爆発問題を主に考察した.これまで三浦英之氏(東京工業大学)と研究代表者との共同研究において,Sobolev優臨界な場合に,臨界ノルムの上極限の意味での爆発は示せていたが,それを極限に改善できるかは分かっていなかった.2023年度には同氏との共同研究を進展させ,実際に極限の意味での爆発を証明した.つまり,Sobolev優臨界での臨界ノルム爆発問題を肯定的に解決した.この結果はすでに論文としてまとめ,投稿中である.また,極限の意味での爆発を示す際に得られたある種の正則性定理を用いると,上極限の場合の証明を大幅に簡略化できることも分かったため,これについても論文としてまとめ投稿中である. また,1次元Fast diffusion方程式に対し,M. Fila氏(Comenius大学),柳田英二氏(東京大学)との共同研究により特異性が時間経過とともに進行する解を考察した.厳密解を適切かつ非自明に変形し様々な比較関数を構成することで,特異解の存在,条件付き一意性を示すとともに,特異点付近および遠方での解挙動,時間無限大での漸近形などを解析した.結果として,特異点の動き方に応じて特異性の強さが変わり得ることを含む,さまざまな性質を明らかにできた.この結果はすでに論文として投稿し,Mathematische Annalenに掲載が決定している. 以上に加え,比佐幸太郎氏(東北大学)と石毛和弘氏(東京大学)との共同研究がTransactions of the American Mathematical Societyから,山本光氏(筑波大学)との共同研究がJournal of Evolution Equationsから出版された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定よりも早く非線形項がSobolev優臨界な場合の臨界ノルム爆発問題を解決することができた.一方で,Sobolev劣臨界の場合での解の爆発レートの解析については必要な評価が得られず,あまり進展しなかった.以上により,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き半線形熱方程式の爆発解を主な研究対象とする.非線形項がSobolev劣臨界な場合の爆発解の特徴付けを試みるとともに,ちょうどSobolev臨界の場合に臨界ノルムの爆発条件を考察する.また,得られた手法を類似する方程式に適用できないか検討する.適時,fast diffusion方程式のblow-downレートについても調査を進める.
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