研究課題/領域番号 |
23K13006
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
永並 健吾 成蹊大学, 理工学部, 助教 (30910484)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 位相幾何学的グラフ理論 / 閉曲面上のグラフ / イマージョン / 四角形分割 |
研究開始時の研究の概要 |
グラフマイナー理論が位相幾何学的グラフ理論(閉曲面上のグラフを扱う分野)と密接に結びついて発展してきた一方で,イマージョンと位相幾何学的グラフ理論を結びつけた研究はこれまでにほとんどない.本研究では,「曲面マイナー」と呼ばれる新たな概念を提案することで,イマ―ジョンと位相幾何学的グラフ理論とを結びつけ,イマージョン理論を新たな方向性から展開していく.
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研究実績の概要 |
本研究の主要な目的は,グラフマイナー理論における重要な成果の一つである「曲面マイナー定理」のイマ―ジョン版,すなわち「曲面イマージョン定理」を構築することである. 曲面マイナー定理や曲面イマージョン定理をざっくりと説明すると,「グラフが閉曲面に十分に密に埋め込まれている(つまり,メッシュがとても細かい)と,所望の埋め込まれたグラフを部分として必ず含む.」という主張であり,特定の性質をみたす曲面上のグラフを構成するための非常に有用なツールとなる. 今年度の成果として,上記の部分的解決である「射影平面上の4-正則グラフにおける曲面イマ―ジョン定理」を構築し,これを国際会議"35th Workshop on Topological Graph Theory"で発表した.一方,研究開始当初から本結果の大まかな証明はすでに得られていたのだが,細かい議論を精査するのに時間がかかってしまったため,現在でも論文の執筆が進行中である. また,一般の閉曲面上での理論に展開していく上で重要となるグラフの再埋蔵構造(同型なグラフが持つ非同値な埋め込み間の構造)の解析にも取り組み,グラフ彩色問題との関連で成果を得た.具体的には,グラフとして同型な三角形分割間ではfacial achromatic numberと呼ばれる不変量の差が閉曲面の種数を固定すると定数で抑えられることを示した.この成果については,日本数学会2024年度年会で口頭発表を行い,論文が国際学術雑誌"Theory and Applications of Graphs"に掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記載した通り,一定の成果が得られているものの,「射影平面上の4-正則グラフにおける曲面イマ―ジョン定理」に関する結果をまとめた論文の執筆作業が遅れている.しかし,証明作業は完了しているため,早急に執筆作業に取り組んでいく.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を足掛かりとして,一般の閉曲面上の4-正則グラフの曲面イマージョン定理の構築を目指す.すでに,閉曲面上の4-正則グラフの双対である四角形分割と,その変形操作である面縮約と呼ばれる操作が本議論において非常に有益であることが明らかになっている. そのため,まずは各閉曲面上の四角形分割が持つ性質を明らかにしていく.特に,曲面の代数トポロジー的な不変量を用いて,球面や射影平面といった種数の低い閉曲面上の四角形分割と,より種数の高い閉曲面上の四角形分割の間にどのような差異があるのかを解明する.
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