研究課題/領域番号 |
23K13008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 株式会社国際電気通信基礎技術研究所 |
研究代表者 |
丸山 善宏 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 佐藤匠徳特別研究所, 研究員 (20761290)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 圏論的双対性 / 圏論的意味論 / 圏論的論理 / 圏論的量子力学 / 量子トポス理論 / 圏論的機械学習 / 圏論的人工知能 / 圏論的量子計算 / 圏論的量子力学・量子計算 |
研究開始時の研究の概要 |
双対性は科学の諸分野を横断して広範に観察される数理現象である。フーリエ変換が本質的にポントリャーギン双対性に基づくように、双対性は工学的にも豊富な応用を持つ。双対性理論はそれらに対して統一的な視点を提供し、科学の異なる領域間に橋をかける数理理論である。双対性理論は異なる双対性間の相同性の解明に役立つと当時に、異なる双対性がどこまで同じでどこから異なるものであるのかをも明らかにする。圏論的意味論は、科学の諸領域に存在するシステムの論理構造に対して意味論を系統的に与える技法であり、特に圏論的機械学習や圏論的量子計算においても本質的である。本研究は以上に関する基盤的研究を推進するものである。
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研究実績の概要 |
数学・情報・物理を横断する圏論的双対性と圏論的論理・圏論的意味論について研究を進めた。特に、数学・情報・物理を横断する圏論的双対性の一般理論を構築し、それを近年の圏論的確率論・圏論的機械学習に関わる双対性の発見・構築・証明に応用した。また量子物理・量子計算に関わる双対性への応用をも与えた。さらに、圏論的論理・圏論的意味論の一般理論を構築した。その応用として、機械学習のためのファジィ論理の圏論的意味論を構築した。またさらに量子力学・量子論理の圏論的意味論への応用を与えた。これは量子トポス理論の構築への重要なステップであると考えられる。まず、トポス理論的な圏構造と量子力学的な圏構造は両立しないことが知られている(両方の構造を一つの圏に要求すると圏の構造が潰れるということが知られている)。従ってトポスの概念をそのままの形で量子化することはできない。そのため、トポスを函手として再定式化した概念であるトライポスの概念を用い、量子トライポスの概念を定義することで量子トポス理論を構築する。トライポスの概念は任意のモナドに対して拡張することができるという自由度がありこれを利用してトライポスを量子化する。またトライポスの基礎圏はカルテジアン閉圏ではなくモノイダルなダガーコンパクト閉圏とする。量子力学の型理論は線型だからである。アブラムスキー・クッカはこの型理論のみに基づいて量子力学・量子計算を形式化したが、量子的対称性などはそのような枠組みの中で上手く表現することができなかった。一方、古典的な量子論理であるバーコフ・フォンノイマンの量子論理は量子的対称性を上手く表現することができた。基礎圏がダガーコンパクト閉圏でありモナドが量子論理代数のモナドであるような量子トライポスは、アブラムスキー・クッカの量子型理論とバーコフ・フォンノイマンの量子論理を融合させたものであり両者の利点を併せ持つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
圏論的双対性と圏論的意味論について、一般理論の構築とその諸分野への応用を共に大きく進展させ、当初の予想を超える豊富な成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
数学・情報・物理を横断する圏論的双対性と圏論的論理・圏論的意味論についてさらに研究を進めてゆく。特に、数学・情報・物理を横断する圏論的双対性の一般理論についてはいくつかのバージョンが可能であるため、それらの可能性をそれぞれ分析し比較検討することを通じて双対性の一般理論のより深い理解に到達できると考えられる。圏論的論理・圏論的意味論の一般理論についてもすでに一定の定式化の下で基礎的な成果を豊富に得ているが、他の定式化も検討することで真に最良の定式化を発見することができると考えられる。
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