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非局所反応拡散方程式のパターン形成における積分核形状の影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K13013
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分12040:応用数学および統計数学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

石井 宙志  北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (20966337)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2027年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード界面方程式 / 特異極限 / 進行波 / 非整数階微分 / 漸近形 / 非局所拡散 / パターン形成 / 非局所効果 / 反応拡散系 / 非局所反応拡散方程式 / 積分核
研究開始時の研究の概要

近年,魚の表皮パターンの形成や生物種の拡散・増殖過程,脳の発火現象などを記述するために,反応拡散方程式に物質間の距離に応じた働きを表現する積分核との畳み込み積分で与えられる非局所効果を加えた,非局所反応拡散方程式が諸分野の数理モデルとして現れます.このような数理モデルでは,積分核形状に依存して多様な時空間パターンが生成されることが数値計算により確認されている一方で,パターン形成の数理的な理解は十分に進んでいないのが現状です.本研究ではパターン形成における積分核形状の影響を考察するために,非局所反応拡散方程式の解に対する解析手法を構築・提案することを目指します.

研究実績の概要

今年度はまず,相分離した空間パターンの時間発展における積分核形状の影響を解析するために,ある数理モデルに対して特異極限問題を考え,界面方程式を導出して解析を行った.導出された界面方程式は積分核形状の影響が解析しやすい形となっており.特徴的なパターンに関して線形安定性解析と数値計算が可能である.それにより,界面方程式の妥当性を確認するとともに,積分核形状の影響に関して理解が深まった.また,中心多様体縮約理論を用いて,特別な場合における解挙動の厳密な証明を与えることができた.
解の空間伝播における積分核形状の影響を考察するために,線形の非局所拡散方程式における解の高次漸近展開について考察を行った.特に,非対称な積分核の場合を主に扱い,積分核のどのような特徴量が解の空間伝播に影響を与えるのかを解析をした.空間伝播における非対称を評価するための一つの指標を見つけ,漸近公式を導くことにより非対称の強さを積分核によって特徴づけることに成功した.
非線形の場合には空間伝播を同様な手法で明らかにするのは容易ではない.そのため,今年度は進行波解による特徴づけで解の空間伝播を考察した.特に,非対称で多項式減衰する積分核を持つ場合を考えるために,時間非整数階微分を持つ反応拡散系を扱った.ある問題設定の下では,多項式減衰する対称な積分核では進行波解は存在せず,空間伝播が指数オーダーで非常に早く行われることが報告されている.しかし,本研究で扱った時間非整数階微分を持つ反応拡散系には数値計算を行うと,進行波解のような挙動が確認される.さらに,解が漸近的に進行波解に近づくという仮定の下,進行波解のプロファイルの式を導出し,その存在を示すとともに,漸近的な進行波解が元の方程式の劣解になっていることを示した.
これら研究実績の一部は学会等で発表するとともに,論文にまとめて投稿中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

相分離した空間パターンの解析については当初,特定の形状の単独パターンのみを扱えるものと考えていたが,より一般の形状で,複数パターンの場合も扱えることがわかってきた.これにより,特定の形状のパターンが摂動によって不安定化するための条件や複数配置されたとき時間発展などを導くことに成功している.その他の非局所効果を持つ数理モデルに対しても有益な手法であり,今後のモデル解析に対して大きな進展である.
解の空間伝播に関しては積分核の形状に応じた特徴量を導出することに成功したのは,大きな進展の1つである.今後,得られた知見をもとに一般的な議論を進めていくことが可能となった.

今後の研究の推進方策

当面はモデル解析を進めていき,状況に応じて非局所効果がどのように働くか理解を含めていく.得られている成果の一部は形式的であり,数値計算による検証のみで留まっている部分もあるため,そのような議論に対して厳密な証明が与えられないかを考える.個別のモデルに対して一連の議論を厳密化してから,一般化への足掛かりを探したい.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 8件)

  • [学会発表] 時間非整数階微分を持つFisher-KPP型方程式の解の挙動について2024

    • 著者名/発表者名
      石井宙志
    • 学会等名
      第13回室蘭非線形解析研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Traveling waves to a nonlocal scalar equation with sign-changing kernel2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi ISHII
    • 学会等名
      The 13th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications "SS08 Propagation Phenomena in Reaction-Diffusion Systems"
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 非局所反応拡散方程式における積分核形状に依存した時空間パターンについて2023

    • 著者名/発表者名
      石井宙志
    • 学会等名
      京都大学応用数学セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 非局所反応拡散方程式における局在パターンの積分核形状に依存した挙動について2023

    • 著者名/発表者名
      石井宙志
    • 学会等名
      反応拡散系パターンダイナミクスの新展開
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Effects of a nonlocal term in pattern formation problems2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi ISHII
    • 学会等名
      Biwako workshop on Mathematical Biology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Dynamics of localization patterns in some nonlocal evolution equations2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi ISHII
    • 学会等名
      ICIAM2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Motion of phase-separated patterns in nonlocal reaction-diffusion equations2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi ISHII
    • 学会等名
      RIMS Conference "Multidisciplinary Research on Nonlinear Phenomena: Modeling, Analysis and Applications"
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 非局所反応拡散方程式に現れる界面の運動について2023

    • 著者名/発表者名
      石井宙志
    • 学会等名
      第3回はこだて現象数理研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Effect of integral kernel shape on interface dynamics in a nonlocal bistable equation2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi ISHII
    • 学会等名
      MATHEMATICAL ASPECTS OF CONTINUUM MECHANICS 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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