研究課題/領域番号 |
23K13016
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高畠 哲也 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (80846949)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 非整数ブラウン運動 / 確率ボラティリティ / ラフボラティリティ / 非整数Brown運動 / 連続時間移動平均過程 / 局所自己相似則 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、確率的かつ時間発展するトレンド項を有す非整数Brown運動や確率過程のヘルダー指数に関連したある種の特異性を有す核関数を持つBrown運動駆動型移動平均過程を含む確率過程のクラスに対して、確率過程のヘルダー指数を高頻度観測時系列からセミパラメトリック推定する手法の開発および提案手法の漸近的最適性に関する研究に取り組む。また平均回帰性の強い非整数Ornstein-Uhlenbeck過程の場合や高頻度観測時系列が観測誤差を含む場合に対して、有限標本下でも良い推定精度を有す推定手法の開発にも併せて取り組み、計量ファイナンス研究への応用上有用な手法の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
近年「ラフボラティリティモデル」と呼ばれる金融資産価格モデル(対数ボラティリティ過程がハースト指数1/2未満の非整数ブラウン運動により駆動される確率ボラティリティモデル)が、既存モデルでは再現不可能なデータの特徴を再現できるため、金融市場に携わる研究者・実務家双方の関心を集めている。しかし、確率的なトレンド構造を持つことに伴う非定常性・非ガウス性、観測誤差の影響による自己相似則の崩れに起因し、時系列および連続時間確率過程の統計解析の分野で発展してきた既存理論が適用できず、「ラフボラティリティモデル」 に対する信頼性の高い統計解析の理論構築には未だ問題が残されている。本研究では、観測時系列が高頻度観測されることを利用して、トレンド構造に依存せずボラティリティ過程のヘルダー指数(ボラティリティ過程の変動の激しさに関わるパラメータ)をセミパラメトリック推定する理論の構築、そして観測誤差の影響で自己相似則が崩れた状況下での漸近有効推定量(漸近的に最適性を有す推定量)の構成に取り組んだ。研究の結果、1)観測誤差を伴う非整数ブラウン運動から得られた高頻度観測時系列、2)長期記憶性や局所自己相似則を有す一般の連続時間定常ガウス過程から得られた低頻度観測時系列、3)定数ドリフトを有す非整数ブラウン運動から得られた高頻度観測時系列などに対し、良い漸近的性質を有す推定量の提案、更に幾つかのモデルにおいて提案した推定量の漸近有効性を証明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推定量の漸近的性質を示す際、定常ガウス時系列から定まる二次形式のキュムラントとその極限との間の精密な誤差評価が必要となる。これまでに本研究で扱う幾つかの統計モデルに対し、推定量の漸近的性質を示す上で必要となる上記精密な誤差評価を与えることに成功し、更にそれらの結果を用いて良い漸近的性質を有す推定量を提案することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに獲得した知見を活用し、長期記憶性や局所自己相似則を有す一般の連続時間定常ガウス過程が高頻度観測される場合における尤度・近似尤度解析の理論構築に取り組む。また得られた研究成果をレヴィ過程駆動型連続時間移動平均過程からの高頻度・低頻度観測時系列やWeak FARIMAモデルなどの非ガウス時系列へ拡張することも試みる。
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