研究課題/領域番号 |
23K13017
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 福知山公立大学 |
研究代表者 |
成松 明廣 福知山公立大学, 情報学部, 研究員 (30963532)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 量子探索アルゴリズム / 量子ウォーク / 完全状態遷移 / 相関付きランダムウォーク |
研究開始時の研究の概要 |
量子ウォーク(Quantum Walks)は,ランダムウォークを量子化したモデルとして2000年代初頭から盛んに研究されている.量子ウォークには様々な応用分野があるが,その代表例の1つとして,量子コンピュータ上で動作する量子探索アルゴリズムが知られている. 本研究は,連続時間量子ウォークを利用した量子探索アルゴリズムの解析を行い,今まで探索アルゴリズムが使えることが明らかにされていなかった,なるべく多くのグラフに対して,探索アルゴリズムが構成可能であるという証明を与えることを目的とした研究である.
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研究実績の概要 |
科研費申請時は投稿中であった,本研究の出発点となる論文"Perfect state transfer, equitable partition and continuous-time quantum walk based search"が,Quantum Studies: Mathematics and Foundationsに受理,公開された.これにより,量子探索アルゴリズムに関する研究として,本研究の学術的有用性が認められた. また,量子ウォークの時間発展作用素の固有値解析について研究を行う中で,状態空間のサイズが同じである相関付きランダムウォークについて共同研究者との議論が深まり,関連研究として"A Spectral Analysis of The Correlated Random Walk"を執筆した.(arXiv:2310.20220v1)こちらは現在投稿中である. こちらの論文は,グラフ上の量子ウォークに利用されている,ヤコビ行列を用いて時間発展作用素を解析する手法を相関付きランダムウォークに適用した論文であり,状態空間が複素数である量子ウォークに対し,相関付きランダムウォークは実数であるため,適用するための議論が必要であった. この相関付きランダムウォークの研究で用いた手法は,いくつかの課題を解決することで量子探索アルゴリズムの時間発展作用素の解析にも適用できると考えられ,これによって本研究をはじめとした種々の研究の進展が予想される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画は,2023年度に量子探索アルゴリズムの解析のために,量子ウォークの時間発展作用素の固有値解析について考察するという準備段階であり,その点において,概ね順調に進展していると考えられる. 本年度は関連研究の論文を発表したが,次年度は量子探索アルゴリズムに関する具体的な成果を発表予定である.
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり,本年度行った研究活動で培った解析手法を量子探索アルゴリズムに応用することで,成果を得る予定である. 具体的な方針として,立命館大学の今野特任教授や,日本大学の井手准教授,齋藤准教授らと定期的に議論を行いながら進めており,関連研究の論文を複数準備中である. また,次年度中に複数の研究集会の世話人を担当することが決定しており,本研究に関連する研究者に講演をお願いして議論を行う予定である.それ以外の研究集会にも精力的に参加するなどして,現在の動向に関する知識を更新し,研究成果に反映させる方針である. タイムスケジュールとして,2024年の年内に本研究の成果をまとめた論文を執筆したのち,学術誌に投稿,年度内に受理されることを目指す.
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