研究課題/領域番号 |
23K13018
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
水口 信 中央大学, 理工学部, 助教 (90801241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 最良な誤差定数 / 直交射影 / 固有値問題 / 全離散近似解に対する誤差評価 / 偏微分方程式 / 爆発解 / 爆発時間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では半線形熱方程式の爆発解について考える. 特に解の厳密な爆発時間(解がいつ爆発するか)の導出法に着目する. 半線形熱方程式を含めた偏微分方程式の解の研究は様々な分野で盛んに行われており, 厳密な爆発時間の値の導出法の追求も方程式の解の構造を知るための研究のひとつである. しかしその手法の完成には様々な困難な点があり限定的な条件下でしか達成されていない. そこで我々は解の精度保証付き数値計算法を応用することでより一般的な条件下で厳密な爆発時間の値を算出する手法を提案し, 未知の現象に対する研究基盤を構築する.
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研究実績の概要 |
今年度は主に様々な偏微分方程式の近似解に対する定量的な誤差定数値の計算法の改良案を検討した.この誤差定数値の計算法の改良は本課題達成のためだけの局所的なものでなく, 偏微分方程式の解に対する精度保証付き数値計算法の発展へとつながる重要な意味をもつ. 以下で本年度実施した研究について簡潔に報告する. まず, ヒルベルト空間上の有限次元部分空間への直交射影に対する2つの誤差評価の最良な定数が一致することを導いた. そしてその導いた性質から微分作用素のコンパクト性を仮定すればその最良定数値を求めることはある固有値問題の最小固有値を求めることと同値であることを導いた.これにより数値解析, 特に精度保証付き数値計算法で研究されている微分方程式の誤差定数値に対する評価をより精密化かつ計算しやすい形に定式化できた. さらに放物型方程式の全離散近似解に対する誤差定数値の計算法の改良法にも着手した.この全離散近似解の誤差定数値の計算法は色々提案されてはいるが, その値を導出する際に大きなサイズをもった行列の固有値を計算する必要があるため, 扱う放物型方程式が難解になると値の算出が難しくなる欠点を抱えていた. そこで既存の誤差定数値のみで構成できる計算法を編み出すことでその行列計算を使わずに計算する方法を検討した. 特にこの全離散近似解は本課題達成に重要な爆発解の数値的検証法に必要な要素のひとつであり, 検討中の計算法が確立されればより精度の良い爆発時間の範囲が算出されることが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主に当該研究課題達成に必要な解の検証法を構築するための基礎固めを行う研究活動の期間であり, その研究過程で偏微分方程式の解の数値的検証法や課題達成に必要な様々な評価式を構築した.特にヒルベルト空間上の直交射影の最良誤差定数値とある固有値問題との関連性に関する研究成果の論文が採択されたこともあり, 今年度の進捗は順調であると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度の基礎固めした内容をさらに発展させていく. 例えば, 今年度に検討した全離散近似解の誤差定数値の評価または計算法をより具体化させる.既存の楕円型偏微分方程式の直交射影に対する誤差定数値を放物型偏微分方程式の空間と時間両方向に対して応用することで必要な全離散近似解の評価を構築する計画である. そして実際の研究課題の偏微分方程式の解の数値的検証法へ応用化に対しても検討を重ね, 手法を強化していく予定である.
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