研究課題/領域番号 |
23K13020
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田中 一成 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (00801226)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 反応拡散モデル / 精度保証付き数値計算 / 不連続拡散係数 / 有限要素法 / 三角形分割 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は反応拡散モデルにおいて、拡散方程式の厳密解を捉え、その性質を明らかにすることを目的とする。 有限要素法によって求めた近似解に対して、誤差上限を与え、真解がその範囲内に存在することを証明する。 拡散係数が不連続な場合に着目し不均質な媒質中での解析にも対応する。 これにより、気体と固体が共存する領域に現れる拡散係数の最小値と最大値の比が大きい場合においてもその厳密解を捉えることが可能になる。
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研究実績の概要 |
本年度の研究においては、有限要素法における三角形分割の正しさを保証する手法の作成に注力した。 有限要素法において、三角形分割の正しさ「三角形の集合で重複なく領域全体が覆われていること」は大前提となる条件である、一方、既存の三角形分割を出力するソフトウェアは三角形分割を行う過程における数値計算誤差を完全には把握できておらず、誤った三角形分割を出力することがある。三角形分割は通常数千から数万個の三角形の集合から成るため、誤って作成された三角形分割(重複した三角形)を目視で発見することは一般的に難しい。さらに、特筆すべきことは、Adaptive Mesh Refinement(AMR)のように局所的にメッシュサイズを小さくする場合、浮動小数点数の誤差による影響が顕在化しやすく、より高確率で誤った三角形分割が出力されることである。 これらを解決するために、1つの三角形分割要素から出発し、隣接する三角形分割を順次追加していく新しい手法であるPolygonal Sequence-driven Triangulation Validator(PSTV)を開発した。 本アルゴリズムをまとめた論文投稿・公開し、さらに実装プログラムの公開も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第3段階で取り組む予定であった三角形分割の保証アルゴリズムにブレイクスルーがあったため、本年度は本アルゴリズムの開発と公開に注力し、その結果予想を上回る進展があった。 一方、この研究計画の変更により、ハイパーサークル法の一般化の研究については翌年度に持ち越す形となった。 よって、全体としては「おおむね順調に進展している」と考えるのが適当であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
より効率的な三角形分割の正確性の保証アルゴリズムを模索する、一方、H2正則性を必要としない最適な誤差評価式の導出に焦点を当てる。具体的にはハイパーサークル法を拡散係数a(x)が不連続な場合にも一般化し、より正確な誤差評価式を導き出す。この段階においては、誤差評価に必要な数値計算手法やアルゴリズムも開発し、実装する予定である。
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