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アクティブマターが生みだす新奇な非エルミート現象の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K13027
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分13010:数理物理および物性基礎関連
研究機関東京大学

研究代表者

横溝 和樹  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30914402)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード一般化固有値方程式 / 非ブロッホバンド理論 / 一般化ブリルアンゾーン / 非エルミート表皮効果 / 2次元非エルミート系 / ブロッホバンド理論
研究開始時の研究の概要

非エルミート系は、非エルミート表皮効果等の新奇な物理現象を示す非平衡系の1つである。エルミート系には見られない豊かな物理を探索するため、非エルミート物理の研究が盛んに行われている。近年、高次元非エルミート系における非エルミート表皮効果の起源や機構が注目されている。そこで本研究では、2次元非エルミート系で見られるハイブリッド表皮-トポロジカルモードに対するブロッホバンド理論を構築する。構築された基礎理論は、アクティブマターが誘起する新奇非エルミート現象を解明するために有用であると期待される。

研究実績の概要

Active model B+で記述されるアクティブマターの流体的挙動は非線形シュレディンガー方程式で記述されることが提案されている。したがって、このアクティブマターの平衡状態からのゆらぎはBogoliubov-de Gennes方程式によって記述できると考えられる。Bogoliubov-de Gennes方程式の非エルミート性を調べる1つの方法として、非ブロッホバンド理論を構築することが挙げられる。そこで、Bogoliubov-de Gennes方程式を含む一般化固有値問題で記述される方程式のクラスに適用可能な非ブロッホバンド理論を提案した。本研究では、空間的に周期的な1次元系を考えたとき、転送行列の固有値が一般化ブリルアンゾーンに対する条件を与えることを見出した。この条件は簡便な形式で書くことができる。具体例として、カイラルメタマテリアルで構成されたフォトニック結晶のバンド構造と固有状態を計算した。一般化ブリルアンゾーンから計算されたバンド構造は、第一原理的に数値計算された系の固有値を再現することが明らかになった。したがって、構築された理論の妥当性が示された。さらに、固有状態の偏光に依存して、非エルミート表皮効果による固有状態の局在の様子が変化することを見出した。特に、フォトニック結晶が相反な場合、右・左円偏光固有状態が系の両端に局在する相反非エルミート表皮効果が起きる。このような性質により、入射光の偏光を変えるだけでフォトニック結晶中の励起状態の局在の向きを変更することができると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

一般化固有値方程式に対する非ブロッホバンド理論は、本研究で対象としている2次元系に適用することができない。そのため、構築した理論を高次元系へ拡張する必要がある。研究の初期段階では、1次元系に対する非ブロッホバンド理論を素直に拡張することで2次元系に対する非ブロッホバンド理論を構築できると考えていた。ところが、この試みはうまくいかないことが明らかになった。この理由として2つの要因が考えられる。1つ目は、系の形状に依存して非エルミート表皮効果による固有状態の局在の様子が変化することである。したがって、非エルミート系に対する普遍的なスペクトル理論が構築できるかどうかが明らかではない。2つ目は、一方の複素波数がもう一方の複素波数に影響を及ぼすことである。したがって、特性方程式の解から一般化ブリルアンゾーンに対する簡便な条件を書き下すことが困難である。以上のことから、高次元系における非ブロッホバンド理論を構築するために異なるアプローチを考える必要がある。

今後の研究の推進方策

高次元系における非ブロッホバンド理論に対する研究の中で、多変数多項式におけるアメーバ理論を用いた定式化が提案された。この定式化は、高次元非エルミート系のバンド構造を再現し、系の形状に依存しない普遍的な理論として有力であると考えられている。そこで、今後の研究では、アメーバ理論の観点から高次元系における非ブロッホバンド理論の構築方法を調べる。先行研究で提案された条件は煩雑なため、数値的な検証が困難である。そこで、より簡便な方法で高次元系の一般化ブリルアンゾーンが計算可能かどうかを探索する。また、高次非エルミート表皮効果との関連を検討する。既存のモデルを用いることで、具体的な解析計算を通じてこれらの研究が進められると考えられる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Non-Bloch band theory of generalized eigenvalue problems2024

    • 著者名/発表者名
      Yokomizo Kazuki、Yoda Taiki、Ashida Yuto
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 109 号: 11 ページ: 115115-115115

    • DOI

      10.1103/physrevb.109.115115

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Non-Hermitian physics of levitated nanoparticle array2023

    • 著者名/発表者名
      Yokomizo Kazuki、Ashida Yuto
    • 雑誌名

      Physical Review Research

      巻: 5 号: 3 ページ: 033217-033217

    • DOI

      10.1103/physrevresearch.5.033217

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 一般化固有値問題における非エルミートブロッホバンド理論2023

    • 著者名/発表者名
      横溝和樹
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会(2023年)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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