研究課題/領域番号 |
23K13034
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
白井 達彦 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (20816730)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 量子開放系 / 緩和ダイナミクス / ゲート型量子計算機 / 量子アニーリング / エラー緩和 / 非平衡定常状態 / 相転移現象 / ゲート式量子計算機 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,非平衡量子開放系に対する統計力学の構築を行う.非平衡量子開放系とは,エネルギー流や粒子流といった流れのある系であり,量子系が外界と接して散逸を受けることによって実現する.実験技術の発展に伴い,原子一つ一つといったミクロな量に対して散逸を制御することが可能となっている.本研究では,量子コンピュータに代表される次世代コンピューティング技術を活用し,非平衡量子開放系の物性制御法を確立する.
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研究実績の概要 |
本研究課題において,主に以下の2点の研究を行った.
第一に,散逸のもとでの量子多体系のダイナミクスの普遍的な性質を解明することを目的に研究を行った.この研究は,冷却原子系などの量子シミュレーション技術や量子アニーリングマシンやゲート型量子計算機を用いた量子アルゴリズムの開発につながる点において重要である.具体的には,散逸によって生じる緩和ダイナミクスの研究に取り組み,時間とともに局所的な情報が系全体に拡がる量子スクランブリングと呼ばれる多体現象によって,緩和率が加速する現象を明らかにした.また,瞬間緩和率を数学的に導入し,過渡過程におけるダイナミクスを定量的に記述することが可能となった.これらの成果を原稿にまとめ論文雑誌に投稿した.
第二に,ゲート型量子計算機の実機を用いて,組合せ最適化問題を解法するための研究に取り組んだ.今年度は,ノイズの存在によって実機に生じるエラーの大きさの評価を行い,そのエラーを緩和するための技術の構築に取り組んだ.エラー緩和技術は,現状エラー訂正のできない量子計算機で有効な計算を行う上で重要な技術である.とくに,量子ビット間の相関を系統的に取り入れてエラーを緩和する手法を考案し,実機を用いた実験を通して,その評価を行った.その結果,小規模の量子ビットからなる量子計算機において,従来手法に対する優位性を確認した.今後は,大規模の量子ビットから量子計算機に適用可能な手法とするため,手法のスケーラビリティの問題の解決に向けて研究を進める予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子開放系についての研究を計画通りに進め,結果をまとめ雑誌に投稿することができた. また,量子計算機の実機を用いた研究を通して,統計力学の一分野である量子開放系と量子計算との間の境界領域についての理解が深まり,今後の研究の進展に広がりを持たせることができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を継続してさらに発展させる.
「研究実績の概要,第一」の量子開放系において得られた一般的な結果を,量子計算に拡張する.具体的には,変分量子アルゴリズムとして知られる変分量子固有値ソルバーや量子近似最適化アルゴリズムを考えて,計算結果にノイズが及ぼす影響について調べる.
「研究実績の概要,第二」では,スケーラビリティの課題を解決するための手法開発に取り組み,その後大規模のゲート型量子計算機を用いて,その手法の有効性を調べる.
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