研究課題/領域番号 |
23K13038
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高瀬 寛 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70963990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 光量子情報処理 / 量子コンピュータ / 量子光学 |
研究開始時の研究の概要 |
驚異的な情報処理能力を持つ量子コンピュータは、開発が最も期待される量子技術の一つである。中でも光を用いた量子コンピュータは、常温で動作する点や量子計算の大規模化が容易な点で有望視されている。光量子コンピュータでは、Gottesman-Kitaev-Preskill(GKP)量子ビットと呼ばれるノイズ耐性のある量子ビットの生成が実用化に向けた最大の課題である。本研究は、「光のGKP量子ビットを如何に作り出すか?」という問いに挑み、研究担当者が考案した任意のGKP量子ビットの生成手法を実証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、研究実施者が考案した「可干渉分岐」という量子力学的な操作の実証を目指すものである。この操作は光(量子的な調和振動子)の波動関数がガウス関数で与えられるとき、それを変位したガウス関数の和に分岐させるものである。当初の提案では、可干渉分岐操作にはユニバーサルスクイーザと呼ばれる実験的に利用の難易度が高い操作を必要とした。そこで研究実施者は、ブロッホメシア分解と呼ばれる数学的分解を利用することで、この分岐操作(または連続的に実行される分岐操作)をユニバーサルスクイーザを用いない形に簡略化した。この成果は学術論文として出版した(Takase et al., npj Quantum Information 9, 98 (2023))。さらにこの簡略化された可干渉分岐操作の実験的実証を目指した。実験では、まず2つの導波路PPLNから生成したスクイーズド光をビームスプリッタで干渉させることで量子もつれ光を用意した。さらに量子もつれ光の一方のチャネルを4台の超伝導ナノワイヤ単一光子検出器に接続し、3光子までの光子数測定を行った。申請者の過去の理論(Takase et al., Phys. Rev. A 103, 013710 (2021))により、干渉に用いるビームスプリッタの反射率を適切に設定することで、さらにはより多くの光子数を測定することで、出力状態の波動関数の分岐をより大きくすることができることが分かっている。最終年度の実験では異なる変位量をもつガウス関数の重ね合わせの観測に成功し、可干渉分岐を実証することができた。この成果については論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理論研究の助けもあり想定以上に実験が進み、計画の大部分を終わらせることができた。特に想定よりも多くの光子数の測定に成功したことを高評価としたい。一般に量子光学の分野ではより多くの光子を検出する実験ほど難易度が高く、2光子までの測定が用いられることが多い。提案手法と従来手法は1光子検出では差が出ないため、2光子以上での比較が必要であった。本研究では3光子までの検出を利用して、提案手法と従来手法を詳細に比較することができた。
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今後の研究の推進方策 |
提案手法と従来手法を様々な面で比較するために、条件を変更しながら大量のデータを測定する必要がある。今後は測定の自動化を進めることでこれに対処していきたい。
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