研究課題/領域番号 |
23K13086
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
小野寺 優太 核融合科学研究所, 研究部, 助教 (70823847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高温超伝導導体 / 非破壊検査 / 磁化測定 / 欠陥検出手法 |
研究開始時の研究の概要 |
核融合炉用超伝導マグネットの高磁界化に向けて、高温超伝導(HTS)線材を束ねた大電流HTS導体の研究開発が世界中で進められている中、製作過程で通電特性が局所的に劣化する現象が観測されており、克服すべき課題となっている。HTS線材自体の品質保証技術は確立してきているのに対し、線材を集合化した導体の品質を検査する方法については、導体そのものが研究開発段階であることから技術的に確立していない。本研究では磁化測定を用いた新たな導体評価技術を開発し、HTS導体の通電特性および局所的な欠陥を非破壊・非接触で評価する手法を確立させるとともに、HTS導体の劣化発生メカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
核融合炉用超伝導マグネットを高磁場化するためには、高温超伝導(HTS)線材を束ねた大電流HTS導体の設計技術の確立が必須である。世界中で導体の研究開発が進められている中、製作過程で通電特性が局所的に劣化する現象が観測されている。開発プロセスへの迅速なフィードバックのためにも非破壊で劣化位置を評価する手法が求められる。また、HTS線材自体の品質保証技術は研究され、線材の生産技術として確立してきているのに対し、線材を集合化した導体の品質を検査する方法については、導体そのものが研究開発段階であることから技術的に確立できていない。そこで、本研究ではテープ形状であるHTS線材を集合させたHTS導体の欠陥位置を非破壊・非接触で評価する手法の確立を目的とする。 本年度は欠陥を導入した積層HTS線材に回転磁場を加えたときの空間磁場分布を有限要素法を用いて詳細に解析するとともに、実験値との比較を行った。解析においては超伝導特有の非線形特性を入力するとともに、外部磁界を印加するためのスプリットペアコイルをモデル化し、コイルを回転させることで相対的に積層HTS線材を回転させるモデルを構築した。部分的に劣化箇所を導入した5枚のHTS線材を積層させたモデルにて、連続的に外部磁場を回転させることで、HTS線材内に誘起される誘導電流の大きさと分布を調べるとともに、その誘導電流が作る空間磁場分布を評価した。また、同様の欠陥を導入した積層HTS線材を用いて、永久磁石間にて回転させることで着磁させ、長手方向に亘る磁場分布をホール素子により計測した。その結果、解析結果と実験値は良い一致を示し、構築したモデルの信頼性を確認するとともに、線材両端まで達していない欠陥であっても評価可能であることを明らかにした。また、信号強度によって劣化部分の深さに対しても判別可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた通り、部分的に欠陥を導入したHTS線材を積層させ、回転磁化法によって着磁することで磁化信号を取得するとともに、得られたデータと有限要素法により解析した磁場分布を比較することで、導体内部の欠陥位置と磁化信号との関係性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、引き続き積層させたHTS線材と有限要素法による磁場分布の解析を実施し評価可能な劣化部分を突き詰めていくとともに、実導体でも評価可能な装置の設計開発を進めていく。具体的には超伝導マグネットを利用し、液体窒素中にて導体を回転・搬送させる機構を備えた装置を組み上げる予定である。そして、HTS導体において非破壊・非接触で磁場分布を評価する。さらに、導体を分解することで内部観察を行い、欠陥位置における磁場分布と解析結果との比較を行う。
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