研究課題/領域番号 |
23K13088
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
林 祐貴 核融合科学研究所, 研究部, 助教 (00823387)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 非接触プラズマ / 熱パルス / 直線型装置 / リサイクリング |
研究開始時の研究の概要 |
熱核融合発電の実現に向けて、炉心からの過渡的な熱粒子放出現象に伴う炉壁への熱負荷を低減することが必須である。申請者はこれまでの研究で、定常熱負荷低減の切り札とされる非接触ダイバータにおいて、パルスプラズマ自身が発生させるリサイクリング粒子束が後続のパルスを減衰させる現象を見出した。この現象に注目し、本研究では直線型装置を用いた実験およびモデリングから、リサイクリング粒子束が関与するパルスプラズマのエネルギー損失過程を明らかにする。さらに、原型炉において過渡的熱負荷の減衰に要する輸送距離を外挿評価する。非接触プラズマを用いた過渡的熱負荷の緩和手法を確立させ、熱核融合発電の早期実現に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究はオランダDIFFER所有の直線型装置Magnum-PSIを用いた実験とモデリングから、核融合炉の炉心プラズマから周辺領域への過渡的な熱粒子放出現象に伴い、ダイバータ領域の非接触プラズマがどのように応答するのかその物理を解明するものである。 初年度である2023年度は、Magnum-PSIにおける非接触プラズマへの過渡的な熱パルス重畳実験を実施した。ヘリウムを用いた定常プラズマを生成し、追加のヘリウムガス入射によってターゲット前のプラズマを非接触状態にする。さらにコンデンサバンクによる放電電力の瞬時的な増加によって熱パルスを重畳させる。その時の磁力線に沿った装置上流および下流位置における電子温度・密度を時間分解トムソン散乱計測によって計測した。電子温度・密度から見積もられるパルス熱負荷は上流から下流にかけた輸送によって減衰した。しかし、ターゲット領域のガス圧を上昇させプラズマ-中性粒子相互作用を促進させても、上流から下流にかけてのパルス熱負荷の減衰過程は大きく変わらなかった。ガス圧を増加させることで電子温度が低下しているため、運動エネルギーによる熱負荷への寄与は減少していると考えられる。一方で、高ガス圧で促進される電離過程によって下流側の電子密度が増加し、表面再結合による熱負荷への寄与が増加したため、熱負荷が変わらなかったと考察している。今後は高速カメラや分光計測などによるプラズマからの発光が示す情報を含めた議論を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直線型装置Magnum-PSIを用いた実験を遂行し、2023年度中にデータ解析を開始することができた。取得データの解析は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は直線型装置Magnum-PSIを用いた実験データの解析を軸に、引き続き研究を行う予定である。具体的には、まだ詳細まで解析してこなかった、高速カメラによるプラズマの発光、分光計測による各励起準位のポピュレーションの時間発展、赤外線カメラによるターゲット熱流束、などの解析を行う。さらに、プラズマ流体コード-中性粒子輸送コードによるシミュレーションも実施していく予定である。
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