研究課題/領域番号 |
23K13097
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅井 健人 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (00913774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 重力崩壊型超新星爆発 / 標準模型を超える物理 / 素粒子現象論 / 重力崩壊型超新星 / 超新星ニュートリノ |
研究開始時の研究の概要 |
重力崩壊型超新星爆発は,宇宙において最も激烈な天体現象の一つであり,超高温・超高密度な極限環境が実現される.その様な環境では,MeV程の質量を持ち,地上実験では探索不可能なほど標準模型粒子との相互作用が小さな新粒子が十分な数生成されうるため,重力崩壊型超新星爆発を通じた新粒子への制限が盛んに研究されている. 本研究では,重力崩壊時にコア内で蓄えられている新粒子の量および持ち出すエネルギー,超新星ニュートリノへの影響を評価することで,従来超新星による制限が存在しないと思われていた標準模型粒子との相互作用が大きい新粒子の性質の解明を目指す.
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研究実績の概要 |
重力崩壊型超新星爆発は,宇宙において最も激烈な天体現象の一つであり,超高温・超高密度な極限環境が実現される.その様な環境では,MeV程の質量を持ち,地上実験では探索不可能なほど標準模型粒子との相互作用が小さな新粒子が十分な数生成されうるため,重力崩壊型超新星爆発を通じた新粒子への制限が盛んに研究されている. 本研究では,重力崩壊時にコア内で蓄えられている新粒子の量および持ち出すエネルギー,超新星ニュートリノへの影響を評価することで,従来超新星による制限が存在しないと思われていた標準模型粒子との相互作用が大きい新粒子の性質の解明を目指す. 2023年度は,標準模型フェルミオンとカイラルな結合を持つ新たなゲージボソンを媒介とした標準模型粒子同士の散乱過程に注目し,この新たなゲージボソンへの制限を評価して論文として発表した.その中で,核子とニュートリノの散乱断面積が新たなゲージボソンによって標準模型の断面積から大きく変わり,ニュートリノ-核子のコヒーレント散乱測定実験などが感度を持つことを明らかにした.これは重力崩壊型超新星中におけるニュートリノの振る舞いが新物理によって変化しうることを示唆し,2024年度以降の研究において議論する予定である. また,U(1)Lμ-Lτゲージボソンと標準模型Zボソンの混合(Z-Z'混合)がある場合の,中間子崩壊や原子におけるパリティの破れからくる制限を評価し,論文として発表した.暗黒光子といった通常はニュートリノと結合しない新粒子も,Z-Z'混合がある場合ニュートリノとの相互作用をしうる.これは,暗黒光子の重力崩壊型超新星中でのニュートリノとの相互作用を考える上で重要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,重力崩壊型超新星のコアバウンスまでに存在する新粒子に注目して超新星のエネルギー放出を議論する予定であったが,新粒子の蓄積量の計算が予想以上に複雑であったため時間がかかっている. その一方で,本年度の研究によりニュートリノと核子の散乱断面積が,新粒子を媒介とすることで標準模型の場合と無視出来ないほどに変化しうるという知見を得た.これは,ニュートリノ球やニュートリノ放出に新物理が与える影響という観点から,重力崩壊型超新星による新物理への制限を議論するという新たな方向性に繋がり,その点では進捗があった.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,当初の計画通り重力崩壊型超新星のコアバウンスまでに存在する新粒子の蓄積量の計算を進める. それと同時に,今年度の研究により得た新たな方向性である,新粒子による重力崩壊型超新星中のニュートリノの振る舞いの変化を解析し,新物理への制限および探索に活かせるかを議論する.
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