研究課題/領域番号 |
23K13099
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 貴宏 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (70972016)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 深層学習 / 重力波 |
研究開始時の研究の概要 |
観測期間よりも十分長い時間継続する準定常な重力波は連続重力波と呼ばれ,回転する中性子星や惑星質量の原始ブラックホール連星,回転するブラックホールの周りにできるアクシオン凝縮体などが放出源として期待されている.連続重力波を検出することは新物理や新粒子の発見に直結する.しかし,その波形の性質から連続重力波の探索は計算量が非常に大きく,現状では連続重力波に対する感度は大きく制限されている.本研究では,従来の手法に比べて高速にデータを解析できる深層学習の手法を用いて,計算時間を抑えながら連続重力波に対する感度を向上させ,中性子星の物理や新物理・新粒子の発見に寄与することを目的とする.
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研究実績の概要 |
観測期間よりも十分長い間、ほぼ定常的に継続する重力波を連続重力波と呼ぶ。連続重力波の主な放出源は回転する歪んだ中性子星である。また近年では回転するブラックホール周りにできるスカラー粒子の雲や惑星質量の原始ブラックホール連星なども連続重力波を放出すると予測されている。連続重力波の検出は宇宙物理や素粒子論・宇宙論に対して大きなインパクトを与えると期待されている。一方で、データ解析の観点から言えば、数ヶ月から数年間にわたる観測データを扱う必要があるので、計算コストが膨大になる。連続重力波探索は重力波天文学において挑戦的な課題の一つである。本研究では、深層学習を用いた連続重力波の効率的な探索手法を開発し、LIGO-Virgo-KAGRAの共同観測により得られた観測データから連続重力波探索を行うことが目的である。本年度は、先行研究で実装した解析手法をさらに拡張し、複数の周波数ビンを一度に入力して推定できるようにした。これにより、計算時間の短縮だけではなく、コヒーレントに解析できるデータ長を伸ばすことができるようになり、検出性能の向上が期待される。重力波源の方向を仮定した探索を想定し、さらに先行研究では取り入れていなかったスピンダウンを波形に取り入れて模擬データを作成し訓練及び性能評価を行なった。この性能評価の結果、標準的な探索手法と同程度の性能を短い計算時間で得ることができると見積もった。アルゴリズムを特徴づけるパラメータ(コヒーレント時間、ニューラルネットワークの構造など)を最適化することで、より高い性能を得ることができると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重力波放出源の方向がわかっている状況での探索を想定して、探索手法の核となるアルゴリズムを実装した。また、理論波形をガウスノイズに注入して作成した模擬データに対する性能評価も行い、これまでよりも良い性能を発揮することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
非ガウスノイズを注入したり検出器由来のデータギャップが存在する場合を想定した模擬データを用いて性能評価を行うことで、現実的な設定で期待される検出感度を評価する。その後、LIGO-Virgo-KAGRAの第三期共同観測で得られた観測データを用いた連続重力波探索を行う。信号が検出されたらその物理的・天文学的解釈を行い、検出されなかった場合は重力波振幅に対する上限値を与える。
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