研究課題/領域番号 |
23K13115
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本多 俊介 筑波大学, 数理物質系, 助教 (30835020)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | MKID / 南極望遠鏡 / 850GHz帯域 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙創生から現代に至る時空進化を理解するためには、銀河の形成過程や進化の素過程である星間ダストの進化および星形成を理解することが必要となる。本研究は、地上観測では未だ実現されていない高周波帯域(850GHz帯域)での観測によって、宇宙に漂うダストを詳細に観測する。この観測実現のため、2024年度から観測を開始する30cm南極望遠鏡と超伝導検出器MKIDのコンビネーションを採用する。現行の30cm南極望遠鏡の観測が終了次第、すぐさま受信機部分を換装して観測を開始できるよう、本研究では850GHz MKIDアレイの開発を主軸に研究を推進する。
|
研究実績の概要 |
本研究では850GHz帯域の天文サーベイ観測を南極で実現するための超伝導センサーMKIDを開発する。筑波大学を中心に開発されている南極30cmサブミリ望遠鏡の受信機部分をアップグレードすることで、地上ではまだ実現されていない850GHz帯域観測を他のプロジェクトに先駆けて実現する。本研究期間を通じて、MKIDに含まれる超伝導共振器やアンテナのデザイン最適化・性能評価を行う。性能を精査するための評価系・読み出しなどの開発も進めて、南極の観測環境を十分に活かせる低ノイズなMKIDを開発することが本研究の目的である。 今年度は850GHz用のアンテナの最適化を電磁界シミュレーションHFSSを用いて行った。先行研究の100GHz帯域アンテナをスケールダウンしてシミュレーションを進めたものの、共振器のCPW線路による寄与が無視できない問題や作製精度によって変更せざるを得なくなった部分があったことで、想定よりも細かい調整が必要となった。最終的には、インピーダンス整合やシリコンレンズも合わせたビーム形状を評価した結果、概ね100GHzと遜色ない性能を獲得することに成功している。 また、理化学研究所と交渉を行い、クリーンルーム立ち入りのための手続きを経て、MKIDの作製をスタートした。装置のパラメータチューニングを確認し、超伝導薄膜の厚みや線幅をコントロールした上でMKIDを作製できるようになった。また、MKIDのデザイン設計のソフトウェア開発も進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でのMKID開発のため理化学研究所での作製を開始した。超伝導薄膜の膜厚や線幅のチューニングを通じた装置の作製パラメータの理解で、当初よりもMKIDの作製や物性の理解については少し遅れているものの、2年目から行う予定だったアンテナ・MKID設計などを先行して始めたことで、全体としてはおおむね順調といえる。特に850GHz帯域アンテナについてはすでに先行研究となる100GHz帯域と程度の性能を発揮できることがわかっている。 そのほか、MKIDの常温部の読み出し系が南極環境下で問題ないかを示すためにも、現行の読み出し系を低温で評価することを考えつき、その準備も進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
理化学研究所での作製を軸にMKIDの性能評価を進めて、設計が完了したアンテナと組み合わせてMKIDデザインの決定を行う。詳細な光学性能の評価に必要となる極低温黒体システムを完成させて、具体的な性能評価へと移行していく予定である。
|