研究課題/領域番号 |
23K13121
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 雅俊 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 特任助教 (50824059)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ニュートリノ / ラドン / 極低放射能 / 液体キセノン / 暗黒物質 / 光センサー |
研究開始時の研究の概要 |
イタリア・グランサッソで行われる暗黒物質探索実験XENONnTは、2022年の初期成果でkeV領域においてこれまでにない低放射能バックグラウンド環境を実現したことを示した。本研究ではこの極低放射データを用い、解析によってバックグラウンドの不定性を削減することでこれまで観測されたことのない数keV領域における太陽ニュートリノの反跳信号の観測を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、イタリア・グランサッソ国立研究所で現在進行中の国際共同実験XENONnTにより、低エネルギー太陽ニュートリノの観測を行うことを目的としている。XENONnT検出器は8.5トンのキセノンを用いたタイムプロジェクションチェンバーで、特に数keV-数10keVの低エネルギー領域での観測に関して世界で最も低い放射性バックグラウンドレベルを達成している。XENONnT実験の主目的は暗黒物質の直接探索であるが、同検出器の達成した世界一の極低放射能環境により、数10keV領域における太陽ニュートリノ反跳事象に関して世界初の観測を行うことが期待できる。 本観測における最も重要な課題となるのが、放射性バックグラウンドの一つであるラドンに由来の事象に付随する系統誤差である。2022年に報告者らによって発表されたXENONnTにおける初期観測データの解析結果では、ラドン由来の事象レートには40%程度の大きな不定性が存在した。ラドン由来の事象の作るスペクトル形状は太陽ニュートリノのものと似ていることから、太陽ニュートリノによる反跳事象を3シグマで観測するためには、この系統誤差を5%程度まで削減することが不可欠となる。 本年度はドイツ・MPIKグループと共同で実施した、ラドン線源によるキャリブレーションのデータの解析を進め、線源導入後の検出器内におけるラドンの拡散や崩壊後の娘核との存在比の推定を行うことで系統誤差を評価した。解析の状況と結果に関しては、XENON実験のコラボレーションミーティングで報告を行うとともに日本物理学会での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低エネルギー太陽ニュートリノの初観測のためにはラドン事象に付随する系統誤差の削減が不可欠となっている。そのため、当初の予定通りラドン線源を用いたキャリブレーションの実施およびそのデータ解析を進めている。また、ラドン事象の系統誤差が削減されたのちに問題となるクリプトン事象の系統誤差に関してもMPIKグループ、および東京大学グループと共同で検出器内の放射性クリプトンの存在量に関するモニタリングを実施している。
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今後の研究の推進方策 |
ラドン事象の系統誤差に関して、現在の40%程度から5%程度までの削減を行う。またその次に問題となる、放射性クリプトンの存在量、検出器部材に含まれる放射性不純物からのガンマ線事象についても系統誤差の推定を行い、最終的に数10keV領域で初めてとなる太陽ニュートリノ事象の3シグマでの観測を目指す。
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