研究課題/領域番号 |
23K13134
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
向井 もも 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10823726)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 放射線検出器 / 比例計数管 / r過程 / ガス検出器 / 位置検出器 / 崩壊核分光 / 不安定核 |
研究開始時の研究の概要 |
重元素の起源天体環境を解明するためには、天体環境中での元素合成過程に関与する中性子過剰核の性質を調べる必要がある。しかし、そのような原子核や近傍核の生成収量は非常に少なく実験データは乏しい。本研究課題では、元素合成過程近傍の稀少核種の崩壊核分光を実現するために、極低バックグラウンドのベータ線検出器を開発する。ストリップ状のカソード膜と多芯線の構成により、位置感度を既存検出器の二次元から三次元に拡張し、0.01 cpsのバックグラウンド計数率を目指す。開発した検出器を用いて、世界に先駆けて白金周辺高融点元素およびアクチノイド領域の中性子過剰核のベータ崩壊寿命・崩壊様式の実験データ取得を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、KEK元素選択型質量分離器KISS(KEK Isotope separation System)で生成・分離した稀少な中性子過剰核のベータ-ガンマ核分光を実施するために、極低バックグラウンドのベータ線検出器を開発する。検出器は2層のガス検出器からなり、各層はディレイラインアノードと電荷分割型のカソードで構成する。アノード信号は横方向、カソード信号は縦方向のベータ線飛跡検出に用い、3次元の飛跡の再構成を行うことで、不安定核の打ち込み位置から放出されたベータ線と、宇宙線によるバックグラウンドイベントとの区別を可能にする。2023度は、上記の案に基づいて、実際の検出器内外部の幾何的な制約を考慮したベータ線検出器の設計を行った。 本検出器と組み合わせて使用するゲルマニウム検出器の立体角を確保するために、限られた形状・大きさの二層構造を実現する必要がある。本研究では当初、一層約5mm厚・外径60m程度の円筒型の検出器を予定していた。しかしながら筐体や円筒型カソードの製作可能性を詳細に検討して形状を見直し、角柱型の検出器へと設計を変更した。電荷増幅のシミュレーションを行い、設計変更後の検出器で問題なく電荷収集ができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検出器筐体の製作可能性を検討した結果、円筒型の検出器の実現が困難であることがわかった。また、材料費の高騰により、主に金属を用いる筐体の製作費が予定の費用を大幅に上回ることがわかった。これらの理由により、検出器の設計変更が必要となり遅れが生じた。しかし2023年度中に設計を完了できたため、2024年度に製作と試験を始められる。
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今後の研究の推進方策 |
実現可能な形状を考慮して最適化した検出器の製作を行う。筐体の製造中に、カソードストリップ電極の作成に取り組み、蒸着手法を確立し抵抗電荷分割の確認を行う。検出器一層を組み立て、不安定核打ち込み位置に設置した90Sr線源を用いて性能評価を行う。試験結果に基づき、電極の配置・カソードストリップのピッチや読み出し回路の最適化を行う。最適化の完了後に二層目を組み立て、飛跡再構成性能やバックグラウンドイベントレートの評価を行う。
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