研究課題/領域番号 |
23K13137
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
木村 創大 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究員 (10827348)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 新同位体探索 / アクチノイド / 質量測定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の天文観測と関連する理論的研究から中性子過剰アクチノイド同位体が爆発的天体現象において重要な役割を担っていることが示唆されている。これを明らかにするためには質量や寿命などの核データが必要となる。しかしこれらを合成可能な方法が限られていること、加えて崩壊様式からくる同定の困難さから長らく中性子過剰アクチノイドは未踏領域であった。本研究では多重反射型飛行時間式質量分析器および大口径ガスセルからなる新規な実験装置系によりこの問題を解決し、原子核質量の決定に重要な役割を果たしている殻効果、 特にアクチノイド領域において注目されている中性子数152における閉殻性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では新規アクチノイド同位体の生成に多核子移行反応と呼ばれる反応系を用いる。この反応系はこれまでアクセスできなかった中性子過剰核を生成することができると考えられているが反応生成物の広い角度およびエネルギー分布から既存の施設のほとんどでは高効率な実験を行うことが困難であった。本研究ではヘリウムガスセルの入口直前に標的を置き、広い角度分布を持つ反応生成物を高効率で捕集する方法を採用した。この方法の問題点はヘリウムガスセルの直前まで高強度の一次ビームを通すため、多量の粒子がヘリウムガスセルに打ち込まれ、空間電荷効果のためにこれの効率を大きく下げる可能性があったことである。本年度はまずこの問題を確かめるため、キセノンビームと金属鉛標的を用いた予備実験を行なった。実験の結果、多核子移行反応生成物であるビスマス209の2価イオンの引き出しに成功し、その収量も理論計算を元にした予想値と無矛盾なものであった。またヘリウムガスセルの引き出し効率の一次ビーム強度依存性に関する測定も行い、目標であるビーム強度(1 pnA)まで効率の低下が起こっていないことを確認できた。これらの結果は本研究で提案した実験装置系が多核子移行反応に適用可能であることを示しており、本研究の目的である新規アクチノイド同位体探索への道筋を開くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行する上での最も大きな懸念事項は提案した実験装置系が多核子移行反応に適用できるかというものであった。本年度に行なった予備実験の結果はこの懸念を払拭するに十分なものであり、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験の結果、提案している実験装置系に関して解決すべき課題がいくつか確認された。令和6年度前期はこらら課題の解決に向けた装置の改良およびその確認のため追加の予備実験を行う予定である。そこで問題がなければ後期、もしくは令和7年度前期には新規アクチノイド同位体探索を目的とした本実験を行いと考えている。
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