研究課題/領域番号 |
23K13138
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
亀井 雄斗 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 特別研究員 (90968330)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2027年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 超伝導共振器 / 二重ベータ崩壊 / KID / ニュートリノ / 力学インダクタンス検出器 / 超伝導 / ジルコニウム |
研究開始時の研究の概要 |
ニュートリノが出ない二重ベータ崩壊という宇宙の始まりを知るための鍵となる極めてまれな現象の発見を目指し、世界で研究が進められている。物理の未解明を解決するためには、発見に向けた実験的な課題のみならず、理論計算の不定性低減も大きな課題として残る。本研究は理論計算を行うための情報となるニュートリノが出る二重ベータ崩壊の半減期を未発見の核種について実測することを目指す。超伝導体を用いたKIDという次世代放射線検出器で、新たな二重ベータ崩壊探索実験手法を切り開く。
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研究実績の概要 |
本研究は未発見の極稀事象(二重ベータ崩壊)を、新しい超伝導検出器を用いて観測することを目指している。まずは目的を達成するための超伝導共振器を用いた検出器(超伝導力学インダクタンス検出器[KID])を作製できるかどうかが重要な点であった。KIDに必要な基板部分に極稀事象のターゲット原子核を直接含有させることで観測対象と検出器とが一体となった検出器を念頭に置いているが、ターゲット原子核であるジルコニウム-94についてジルコニウムは金属であるため、そのままでは基板としては使用できない。そこで酸化ジルコニウムを検討し、利用可能な形で提供されるイットリア安定化ジルコニア[YSZ]を基板材料に選定して超伝導検出器の作製にあたった。超伝導金属材料にはニオブを用いた。作製を無事に行え、さらに希釈冷凍機により温度150mKで評価を行って超伝導共振器としての応答を確認することができた。共振ピークの鋭さを表す指標である共振Q値は100,000程度が得られた。さらに、YSZのイットリア含有率による違いも考慮し、容易に入手可能な9.5, 13, 20mol%含有の3種類のYSZ基板を用意して作製・評価を行った。いずれも応答が確認でき、YSZを用いた超伝導共振器の理解が深まった。以上の成果は国際会議(ポスター発表)2件、プロシーディングス1報(査読中)、国内会議5件(口頭発表3件、ポスター発表2件)で発表した。以上より今後に向けて、より良い共振特性を得るための設計変更や放射線検出実験などの課題を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イットリア安定化ジルコニア基板上にKIDを作製し、共振特性を確認することができた。通常基板にはシリコンやサファイアといった材質を用いるため、イットリア安定化ジルコニアの使用は例がなく、共振特性が確認できなければ他にジルコニウムを含有した素材を探すところから始めなければならなかった。計画通りに実験的に確認できたため、順調に次のステップへと移行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの計画通りに進めていく。直近では次の課題が挙げられる。確認できた共振特性をより良いものに、具体的には高い共振Q値が得られるようにKIDのデザインを変更する。また、放射線を検出できるかを実験する。具体的には基板に放射線(α線やγ線)を照射し、フォノン伝搬によってKIDから信号が読み出せるかを検証する。
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