研究課題/領域番号 |
23K13145
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石川 将吾 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (40807385)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 遠方宇宙 / ダークマター / ダークエネルギー / 宇宙の大規模構造 / バリオン音響振動 / 銀河クラスタリング |
研究開始時の研究の概要 |
近年の精密な宇宙の観測により、宇宙の膨張史や構造形成はたかだか6つのパラメータを持つΛCDM宇宙モデルで記述できることが判明した。ΛCDM宇宙モデルは現在では標準的な宇宙モデルとして広く受け入れられているが、その一方で構成要素の一つである宇宙の加速膨張を引き起こしているダークエネルギーの正体が全く明らかになっていないという重大な問題点を抱えている。本研究ではすばる望遠鏡や国外の銀河探査で観測された大規模銀河サンプルを用いて、従来よりも遠方の宇宙においてそれぞれバリオン音響振動の信号を検出し、謎に包まれたダークエネルギーの正体やその物理的性質の解明に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究ではすばる望遠鏡が実施した大規模銀河探査であるHyper Suprime-Camサーベイ(以下、HSCサーベイ)で選択された遠方銀河サンプルを用いて、宇宙論的な非常に大きなスケールの銀河クラスタリングの精密な測定を行う。さまざまな宇宙年齢(赤方偏移)においてバリオン音響振動の信号を検出することで宇宙の膨張史を直接観測し、宇宙を加速膨張させている謎のエネルギー源であるダークエネルギーの性質に制限を与えることを目指している。 当該年度では、HSCサーベイで得られた銀河サンプルを用いた宇宙論的解析を行う際の誤差評価等で不可欠な模擬銀河カタログの整備を行った。具体的には、スーパーコンピュータで初期条件の異なる独立な宇宙の全天ダークハローカタログを2,000個作成し、それらをHSCサーベイで観測した天域の形状に切り取り、その後ハロー内銀河占有分布(halo occupation distribution)解析の結果に基づいてHSCサーベイの模擬銀河カタログを作成した。これら独立な2,000個の模擬銀河カタログを用いることで信頼度の高い共分散行列を評価することができ、これによりHSCサーベイで選択された銀河を用いた宇宙論的解析を行う際にバリオン音響振動のシグナルやそこから評価されるダークエネルギーなど宇宙論パラメータの推定を行うことが可能となる。我々はHSCサーベイで選択された銀河カタログを再現した2,000個もの模擬銀河カタログを完成させ、これらの銀河クラスタリングやパワースペクトルなどの統計的性質がHSCサーベイで選択された銀河から測定されたものとよく一致していることを示し、それらの結果を論文にまとめて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題ではHSCサーベイで選択された銀河を用いて宇宙論的な大スケールの銀河クラスタリングの信号から宇宙論パラメータの推定を行うが、その解析に不可欠な模擬銀河カタログの準備が整った。次年度以降に宇宙論解析を行うための銀河サンプルの整備や実際に解析を行うための前段階が整ったと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHSCサーベイで銀河サンプルの選択とそれに対応したランダムサンプルを生成し、宇宙論解析を行う。
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