研究課題/領域番号 |
23K13146
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 和也 京都大学, 工学研究科, 特定研究員 (40803953)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2027年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 学際融合 / 新規の爆発モデル開発 / シミュレーションコードの開発 / セル構造シミュレーションの実施 / 超新星爆発 / 燃焼工学 / 数値流体力学 / 圧縮性流体 / 反応性流体 |
研究開始時の研究の概要 |
超音速で進む火炎はデトネーションと呼ばれ、地球上では爆発事故や航空宇宙機エンジン、宇宙空間では超新星爆発という星の最期の爆発において観測され、互いに共通点の多い物理現象である。地球上のデトネーション工学がもともとの専門である研究代表者は、燃焼工学的研究から得られる知見を活かし、超新星爆発で未だ結論のつかない爆発モデルの検証に、多次元の流体シミュレーションによって挑む。 具体的には地球上のデトネーションの発生・伝播条件の整理に不可欠な「セル構造」という最小構造単位を、超新星のデトネーションにおいて解析する。また、それをモデリングに生かした星全体のシミュレーションを行うことで、爆発モデルを実証する。
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研究実績の概要 |
超新星爆発において観測される宇宙のデトネーションに関し、地球上の水素-酸素デトネーションの解析と同様な計算手法・セットアップにおいて、最も重要な反応空間スケールである、「セル構造」のシミュレーションを、密度、および組成(白色矮星コア物質と表層物質の混合比率)を変更して調べた。具体的には、長さ方向に2400、スパン方向に1200メッシュをおいた二次元シミュレーションを行った。解像度は衝撃波以後に発熱反応が初期エネルギーと同等になる長さスケールのなかに20点を割くという手法で固定することにした。そのような計算領域に1次元定常理論によるデトネーション構造をペーストしたうえで、ホワイトノイズによる擾乱を導入し、成長するデトネーションセル構造を観測した。 上記のための地球上の燃焼に用いたシミュレーションコードを宇宙のデトネーション用に改良することに成功し、計算の結果、宇宙のデトネーションでも地上と同様にセル構造が現れることが確かめられた。 また得られたセル構造サイズのデータベースを用いて、爆発が可能な白色矮星の質量条件を見積もったところ、既存の理論研究と近い一致が見られ、セル構造が宇宙物理学でも重要になるという示唆が得られた。 これからの大規模シミュレーションに向けて、解適合格子(Adaptive Mesh Refinement, AMR)を実装したコードを概ね開発が完了している。 乱流や濃度むらの混在する実際の天体環境に則したモデリングを可能とするため、地上燃焼実験として、乱流中のデトネーションを調べるための実験系を設計構築した。関連する乱流中のデトネーションのシミュレーションも化学反応系において行っており、セル構造の崩壊を観測できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画ではセル構造単位のシミュレーションと、AMRを実装したシミュレーションコードの開発までを計画としていたが、それらが全て完了した上、関連した実験検証も含めた発展的な内容に取り組んでいるためである。
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今後の研究の推進方策 |
まずはシミュレーションコード実装として、AMRコードに超新星の問題に適応した境界条件などを実装し、デバッグを行っていき、ヘリウム表層における爆轟の過程について、小規模なシミュレーションから開始し、計算規模を順次拡大していく予定である。 また前年度の研究で、爆発成否の予測に非常に有効な結果が得られたため、ヘリウム表層だけでなく、白色矮星コアにおけるデトネーションを予測するツールとしても検証を開始し、コアにおけるセル構造のシミュレーションも行っていく必要があr。 地上燃焼実験については、乱流中のデトネーションを既存の実験装置にセンサ等を組み込み、基本的な予備実験を進めていく予定である。乱流中のデトネーションについては、濃度むらを含めるなど、シミュレーションも含めた検証を行っていく。
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