研究課題/領域番号 |
23K13149
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
札本 佳伸 千葉大学, 先進科学センター, 特任助教 (50897022)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 電波天文学 / 光学赤外線天文学 / 観測天文学 / 銀河天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙が生まれたすぐ後の時代において、銀河がどのように生まれ、進化してきたのかについては未だほとんどのことが謎に包まれている。特にその中でも、豊富な星間ダストを持った銀河は内部の星の光が外に出にくいため暗く、今まではほとんど存在すら知られていなかった。近年になってようやくその発見が報告されてきたそれらの謎の多い銀河種族の探査と研究を行うことで、我々の持つ銀河への知識を広げ、理解を正確なものにする。
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研究実績の概要 |
当初の計画の通りビッグバンの後10億年以内という、宇宙が生まれたすぐ後の時代における銀河の形成・進化についての観測的研究を遂行した。特に極めて濃い星間ダストによって星の光が外部に出にくいために暗く発見が困難な銀河という、これまで研究が進んでいなかった銀河種族に対してジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とALMA望遠鏡を用いる研究を実施した。当該年度において、JWSTの観測データ解析を行うことで研究遂行に必須となる画像解析手法に習熟し実際に観測データに基づいたカタログを収集するとともに、国際研究共同コラボレーションに複数所属し共同研究を遂行した。これらのJWSTの観測データ解析によって得られた天体サンプルに対して、ALMA望遠鏡を用いる追観測の観測提案をALMA Cycle-10において4件提出を行った。これらのうち、3件のALMA観測が採択され(B採択2件C採択1件)、令和6年度中に観測予定である。JWSTへのCycle-3観測提案の提出も複数行ったものの採択には至らなかった。これまでに得られたALMA望遠鏡、JWSTの観測データをを元に筆頭著者としての論文を3編提出するとともに(内2編は出版済み)、国内学会・研究会において5回の口頭発表と2回のポスター発表を行い、国際学会において1回の口頭発表を行った。また、当該年度にて提出済みの3編に加えて論文1編の準備を新たに行い提出準備を概ね完了することができ、令和6年度の早い時期に提出予定である。初期宇宙における銀河内部での星形成活動、またその結果生まれる星間ダストの生成に関する数多くの知見を得るとともに、2年度目における研究の発展につながる極めて有意義な研究が遂行ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに実施した研究において、これまでに観測が行われているジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いた広視野観測サーベイデータを用いた多波長の測光カタログの収集を行っている。また、多数の国際共同研究に参加し共同研究を遂行した。これらのJWST観測に基づく多波長の測光カタログや共同研究、または出版された論文から得られた結果に基づいてサンプルの構築を行い宇宙初期の銀河に対して星間ダストを検出し、銀河の星間ダストに隠された活動を探るためのALMA望遠鏡を用いたサブミリ波観測の計画立案と観測提案の提出を行った(Cycle-10には4件、Cycle-11には5件)。これらの提出した観測提案のうち複数のALMA望遠鏡の観測提案が採択された(Cycle-10は3件、Cycle-11の結果は令和6年8月ごろ発表予定)。補助事業準備期間前から実施が行われていたALMA望遠鏡の観測データの解析と論文作成も順調に進展し、そのうち一部はすでに論文として提出(3編)し、さらにそのうち2篇は出版された。一方、当該年度中に得られた知見を元に作成したJWST Cycle-3への観測提案を2件作成し提出したものの採択されなかった。これまで得られ、公開されているJWSTの観測データを用いる観測データを用いた研究を行うことが当初よりの計画であったため、計画していた研究の遂行は順調に進展しているものの、JWSTへの観測提案が採択されなかったことから当初の計画以上の進展には至らなかった。以上をまとめると、当初より計画していたJWST観測データ収集、ALMA望遠鏡観測立案やそれらに基づいた研究遂行は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とALMA望遠鏡の観測データの解析を進める。特に令和6年度には、自身が代表研究者として観測が採択されている3件のALMA望遠鏡のCycle-10での観測が行われる。これらの新たに得られるALMA望遠鏡の観測結果の解析と合わせて、JWSTの観測データの解析を詳細に行う。これら2つの望遠鏡データを組み合わせることにより、宇宙初期の銀河の多波長観測データを収集し、解析を行うことで当初よりの計画に沿って研究を進展させる。研究結果に基づき令和6年度中にさらに2編以上の論文の提出と出版を行い、国内・国際学会での発表を行う計画である。 また、すでに提出したALMA望遠鏡Cycle-11の観測提案に加えて、令和6年度10月と令和7年度4月にそれぞれ予定されているJWSTの観測提案Cycle-4、ALMA望遠鏡の観測提案Cycle-12にて1件以上の観測提案の提出を行う。新たな観測を行うことでこれまでに扱ってきた公開データでは得られていなかったデータを得て、当該研究をさらに発展させる。 本補助事業の最終年度である令和7年度に向けて、これらの研究・観測提案提出を行い、研究内容をさらに取りまとめることで当初の計画していた研究を遂行する。
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