研究課題/領域番号 |
23K13152
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
川畑 佑典 国立天文台, SOLAR-Cプロジェクト, 助教 (90867623)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 太陽 / 磁場 / 磁気流体 / 偏光分光観測 / 輻射輸送 / 太陽物理学 / 偏光観測 |
研究開始時の研究の概要 |
磁気リコネクションは磁気エネルギーをプラズマの熱・運動エネルギーに変換する現象として知られ、その高速化機構の理解はプラズマ物理における最重要課題の一つである。太陽大気における高速化機構の観測的証拠を得ると共に、エネルギー変換効率の周辺のプラズマ環境依存性を明らかにすることが本研究の目的である。その達成には磁気リコネクション現場の磁場を取得することでが不可欠である。太陽下層大気で発生する小規模な磁気リコネクションに着目し、大口径望遠鏡による多波長偏光分光観測と、非局所熱力学的平衡を考慮した輻射輸送計算を駆使して、磁気リコネクション現場の磁場を取得する。
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研究実績の概要 |
2024年度に飛翔が予定されている大気球実験SUNRISE IIIに向けた仮想観測研究を行った。 本課題の研究対象である太陽低層大気で発生する小規模磁気リコネクション現象の磁気流体力学モデリングに対して、輻射輸送計算を行った。FeやCa, Kを含む5つのスペクトル線のモデリングを行い、それらを用いることで、異なる高度で発生した磁気リコネクションの異なる速度場・温度特性がSUNRISE IIIの観測で捉えられる可能性を提示した。その一方で弱磁場近似手法を用いた解析を小規模増光現象で使用した場合、誤差の大きい結果を生む可能性があることを指摘した。研究成果は国内学会、国際学会にて報告を行い、査読論文Astrophysical Journalにて出版された。 さらに2023年4月に地上望遠鏡GREGOR/GRISにてHe I 1083 nmの波長帯における偏光分光観測を行った。本研究課題の主目的である小規模増光は捉えられなかったが、観測期間中に太陽フレアの観測に成功した。観測に用いたGRISという装置は2次元面偏光分光観測が可能であり、フレア発生時の2次元情報を非常に高い時間分解能(<15秒)で取得することができた。得られた偏光分光スペクトルに対して、k-means法を適用し、分類したところ、複数の速度成分を示唆する広い輝線幅を持つプロファイルが、フレアの立ち上がりからピークの間に存在することがわかった。加えて円偏光や直線偏光信号も、フレア発生時に増大していることが明らかになった。フレア発生観測したのは太陽彩層高度であるので実際の磁気リコネクションが起きている領域ではないが、コロナで発生した磁気リコネクションに対して、低層高度の大気がどのように応答するかに対して新たな知見が得られる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁気流体力学シミュレーションに対して輻射輸送計算を行い、SUNRISEで観測されうる模擬データの解析を行った。結果は査読論文として報告を行った。 地上望遠鏡GREGORに観測提案を行い、観測を実施した。太陽フレア発生時の光球・彩層の観測に成功し、現在データを解析中である。同時にGREGOR望遠鏡と太陽観測衛星IRISで過去に共同観測された小規模増光現象のデータの解析を進めている
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今後の研究の推進方策 |
今後は3種類の研究テーマを並行して進めて行く計画である。 ・GREGOR望遠鏡と太陽観測衛星IRISの共同観測で得られた小規模増光現象の振る舞いの研究 ・2023年度に取得したGREGOR望遠鏡の太陽フレア観測データの解析 ・2024年度に飛翔予定のSUNRISE IIIの観測データのデータ校正/解析準備 2024年度前半は上記2つの解析を進め、2024年6月飛翔予定のSUNRISEデータの解析を行うという計画で進める。
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