研究課題/領域番号 |
23K13160
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木暮 優 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD) (10846786)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 大気重力波 / 中規模伝播性擾乱 / 大気潮汐波 / 大気上下結合 / マッデン・ジュリアン振動 |
研究開始時の研究の概要 |
対流圏が大気重力波・大気潮汐波を通じて熱圏へどの様な影響を及ぼすのか理解することを目指す。特に、大気重力波の主な発生源の1つである対流活動に着目し、赤道域の対流活動が30-60日で周期的に変化するマッデン・ジュリアン振動に注目する。本研究では、高度90-300 kmの赤道域水平風・気温を観測することができる衛星観測と全球の高度0-500 kmの水平風・気温などを含む大気のパラメータを再現することができる数値モデルのデータを用いる。これらのデータを用いて、対流活動の周期的な変動により、熱圏へと伝播する大気波動がどの様に変化し、その変化を受けて熱圏の擾乱や循環がどの様に変化するのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は対流活動により励起される大気波動のスペクトル・伝播特性を明らかにすることである。研究計画では赤道域の対流活動を研究する予定であったが、中緯度域の大雨を伴う寒冷前線内部の対流活動から大気重力波が励起される非常に興味深いイベントの解析を行なった。 我々は、全大気モデルであるSD-WACCM-XとSD-WACCM-Xの中性風と組成によって駆動されるSAMI3を用いて、昼間に移動する電離圏の擾乱(TIDs)を駆動する大気重力波の波源と垂直伝播のシミュレーション研究を行った。2020年10月20日の昼間に、北部中央部のアメリカ合衆国(90-100°W、35-45°N)を通過する寒冷前線は強い上向きの気流と共に移動していた。~500-700 kmの水平波長を持つGWsが、北中部のアメリカ合衆国上空の熱圏を南北に伝播した。また、地表面から熱圏までの擾乱は位相がつながっており、大気重力波はミネソタ州とサウスダコタ州上空の寒冷前線に関連した上昇気流によって励起した可能性が高い。前線で生成された大気重力波は、100 km以下ではエバネッセントモードであり、ほぼ無限の鉛直波長を持っていた。これは、大気重力波が地球大気中をエバネッセントモードで通過し、地球大気と宇宙空間の間でエバネッセントモードから自由モードへと変化したことを意味する。中規模のTIDs(MSTIDs)もGWsと共に南へ伝播し、これにより前線のGWsがMSTIDsを生成したことが示唆される。 別に、対流活動から励起した大気重力波の成層圏・熱圏(電離圏)の観測的研究も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、数値シミュレーションに関する研究論文は2回目の査読を受けており、令和6年度の前半には受理されると予想される。もう一方の観測研究に関しても、現在論文を執筆しており、令和6年度の前半には投稿予定である。 しかしながら、赤道域の対流に関する研究解析が遅れており、令和6年度に本格的に解析を行なっていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度前半は、論文2本を受理するために執筆を急ぐ予定である。一方で、赤道域の対流活動と大気波動に関する研究は、観測データの解析は一通り終わっているが数値シミュレーションの研究が進んでいないため、論文執筆と同時並行で進める予定である。
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