研究課題/領域番号 |
23K13162
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
桑原 正輝 立教大学, 理学部, 助教 (60827575)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 惑星大気 / 水素ライマンアルファ / 誘電体バリア放電 / 惑星コロナ / 水素ライマンアルファ線 / 水素同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
惑星や彗星の大気が発する紫外線を遠隔観測し,水素・重水素の密度・温度分布の時空間変動および同位体比(D/H比)を求め,大気進化を支配する物理過程を明らかにする.そのための手段として,誘電体バリア放電によるエキシマ発光原理を応用し,水素・重水素の輝線を選択的に吸収可能な光学フィルタを開発する.加えて,フィルタの性能を決める鍵となる超狭帯域紫外光源の開発も進め,光学フィルタの校正システムの確立を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は超狭帯域Lyman-α光源の開発に着手した.金属電極,石英ガラス,ベークライトを組み合わせ放電機構を設計・製作した. 製作した放電機構を真空槽内に設置し窒素雰囲気下で放電実験を行なった.放電の発光強度や放電範囲は,印加電圧,周波数,ガス圧,電極面積,電極間距離に依存すると考えられる.これら5つのパラメータを変化させ発光強度の依存性を評価した.発光強度の指標には放電電流値を用いた.印加電圧を1~20 kVpp,周波数を1000~10000 Hzで変化させ依存性を調べた.その結果,印加電圧を高くすると放電電流は増加した.周波数に関しては6000 Hz程度までは放電電流も周波数とともに増加するが,それ以上では横ばいとなった.次に,ガス圧依存性を印加電圧10,18 kVppの2通りで調べた.10 kVppの場合は30000 Pa以上,18 kVppの場合は70000 Pa以上でバリア放電が確認された.それ以下の圧力では他のパスにより放電した.この結果から,放電パスを制限し電極間でバリア放電を起こすためには高圧環境が必要であることがわかった.電極間距離や電極面積に対する依存性も同様に評価した結果,放電電流は電極間距離が長くなれば減少し,電極面積が大きくなれば増加するという結果が得られた.これらの実験により誘電体バリア放電の傾向を掴むことができた. 並行して光学試験装置の設計・製作を行なった.真空槽,フッ化マグネシウム製レンズ,紫外分光器を組み合わせ,放電機構で発生した光を分光測定できる実験系を確立した. この実験系で水素雰囲気下での放電実験を行い発光スペクトルを取得した結果,Lyman-αの発光を確認できた. 年度の後半には,水素とネオンの混合ガス雰囲気下でも同様の放電実験を行い装置からの発光を確認できた.発光スペクトルを取得し,パラメータを最適化することが今後の課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の予定通り,誘電体バリア放電を用いた光源システムを設計し,安定した放電を起こせる装置を開発できた点で順調に進展したといえる.一方で,高圧電源の故障により,水素とネオンの混合ガス雰囲気下での発光スペクトル測定には至っていない.この点は次年度の課題とする.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は光源の発光スペクトルを測定し,混合ガスの圧力,電極間距離,電極面積,印加電圧および周波数を最適化する.また,水素とキセノンの混合ガス雰囲気下でも同様の実験を行い,キセノンエキシマを用いた吸光フィルタの実現可能性を評価する.その後,最適化したパラメタを用いてガラス製吸光フィルタを製作し性能評価を行う.
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