研究課題/領域番号 |
23K13166
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鎌田 有紘 東北大学, 理学研究科, 特任研究員 (90972315)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 火星 / 火星水環境史 / 全球気候モデル / 全球氷床モデル / 古気候 / GCM / 水循環 / 進化 |
研究開始時の研究の概要 |
Valley Networkなどの流水地形などの地質的証拠から、太古の火星は表層に大量の水を湛えるほど温暖で湿潤な惑星であったと考えられる。一方で、現在の火星は非常に寒冷で乾燥した環境であり、極域に少量の氷が観測されているのみである。本研究では、「太古の火星表層に大量に存在した水が『いつ』・『どのように』失われ、現在の寒冷乾燥な惑星環境に変遷していったのか?」という問いに答えるべく、申請者がこれまでに開発した初期火星の全球気候・河川・氷河結合モデルに、地殻への水の取り込み過程を新たに導入し、大気・表層・地殻間の水循環を定量的に解明、火星における長期的な水循環・気候の変遷を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、「大気・表層・地殻間の水循環を定量的に解明、火星における長期的な水循環・気候の変遷を明らかにする」ために、申請者が既に開発してきた全球気候・河川・氷床結合モデルを基盤に、Odyssey・MAVEN・TGOなどの一連の火星探査機の観測及び土壌中の水輸送に関する理論モデルに基づき数値モデルの検証・開発を行うものである。「かつて火星表層にあった膨大な量の水は一体どこに行ったのか」は、火星水環境史における大きな謎の一つである。火星の水は「宇宙空間に散逸したのか」それとも「地殻内部に取り込まれたのか」、そしてその結果として「火星気候はどのように変遷したのか」を全球気候モデル研究の立場から明らかにする本研究は、世界の他の研究と比べても意義があるものと言える。 2023年度においては、上記目的を達成するために、研究計画に沿って研究を実施した。具体的には、申請者がこれまでに開発したモデル群(PMGCM・CRIS・ALICE)を改良し、表層・地殻中の水蒸気輸送・吸着・結氷過程の実装、自転軸傾斜角・公転軌道進化に伴う日射量変化の実装を実施した。また、本研究の成果展開として、開発されたモデルを現在火星に適用し、過去100万年間における火星地下氷の変遷に関する数値シミュレーションを行った。当該研究結果はEGU General Assembly 2024で口頭発表に採択され、先日ウィーンにて発表を実施した。また、表層・地殻中のモデルを火星衛星フォボスに適用し、過去43億年間の水環境変遷をシミュレーションした結果は、Icarusにて昨年出版された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に実施を予定していた、全球気候モデルへの「表層・地殻中の水蒸気輸送・吸着・結氷過程の実装」及び「自転軸傾斜角・公転軌道進化に伴う日射量変化の実装」を達成した。また、億年スケールでの気候計算を可能とする長期時間積分スキームの開発や、地球シミュレータなどでの大規模計算に向けた準備も着実に進行している。以上のことから、本研究課題の進捗状況として「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度についても、研究計画に沿って引き続き研究を実施していく。具体的には長期時間積分スキームの完成や、火星探査機などの観測結果とモデル結果の比較検証を実施する。また、大規模計算環境として、2024年度については地球シミュレータ公募課題として過去火星の水環境シミュレーションが採択されているが、2025年度以降も同様に申請予定である。
|