研究課題/領域番号 |
23K13175
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐久間 杏樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10974248)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中赤外レーザー分光装置 / 凝集同位体比 / 炭酸塩 / 中赤外レーザー分光法 / 凝集同位体 |
研究開始時の研究の概要 |
地球環境を調べるうえで、水温の復元は極めて重要であり、これまで複数のプロキシを用いた評価が行われてきた。近年、炭酸塩の凝集同位体比(13C18O16Oの存在度の割合)が水温と相関することが示され、新たな水温の指標として注目されているが、従来の分析手法である質量分析法は同じ質量の同位体を区別できないため分析精度や効率の改善には原理的な限界が存在する。そこで、本課題では中赤外レーザー分光装置(TILDAS)に着目をし、新たな凝集同位体比の分析手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
地球の過去の環境を調べるうえで、水温は重要な指標である。アルケノン温度計や有孔虫殻のMg/Ca比などの手法を用いて復元が行われてきたが、それぞれの手法にも問題点は存在するため、複数の水温プロキシを用いて評価する必要性が指摘されている。炭酸塩の凝集同位体比(13C18O16Oの存在度の割合)は水温と相関することが示されており、新たな古水温の指標として注目されている。しかし、従来の質量分析計を用いた測定では同じ質量の分子を区別することが出来ないため、存在度が小さい凝集同位体の測定では精度や必要な試料量などに原理的な限界が存在する。本課題では新たな同位体比の分析手法である中赤外レーザー分光装置(TILDAS)を用いた凝集同位体比の測定手法の確立を目指す。TILDASによる測定は、それぞれの原子結合に固有の波長において分子内振動によってレーザー光を吸収する現象を用いており、質量数によらず直接それぞれの同位体比を計算することが出来る。今年度は、存在度が大きく調整が容易であると考えられる炭素・酸素同位体比の吸収波長を含むレーザーを用いて、研究協力者と共にブランケット法での測定プログラムの改善を試みた。レファレンスガスとサンプルガスの導入量の調整や、炭酸塩から二酸化炭素ガスを発生させる反応に用いるリン酸の滴下方法などの改善によって、酸素・炭素同位体比について、より精度の良い測定を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中赤外レーザー分光装置が配備されている研究室において、炭酸塩の酸素・炭素同位体の分析に従来用いられてきた質量分析計が故障したことによって、代替手段として中赤外レーザー分光装置を用いる必要があったため、マシンタイムが当初の見込みより減少した。そのため、予定よりも凝集同位体比の測定手法の改良実験が遅れている。一方で、酸素・炭素同位体比の分析についての測定プログラムの改良は行っており、凝集同位体比の測定についても改善されたプログラムを用いることで高精度な測定が可能になると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の実験によって改善されたブランケット法の測定プログラムの、微量な同位体の測定への適用を試みる。昨年度の実験に用いたレーザーの測定波長の範囲内には、凝集同位体比と同様に微量の同位体である17O存在度異常のピークが含まれている。このピークを用いて微量な同位体の測定を行った場合の、測定プログラムの評価と改善を行う。来年度以降、17O存在度異常の測定について試料の量や測定精度の十分な値が得られた後に、すでに配備されている凝集同位体比の吸収波長を含むレーザーを用いて、凝集同位体比の測定手法についての評価を行っていきたい。
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